最後の読者

『それでですね、この暗殺者ロキは打ち切り作品なんですが、同じようなテーマのアサシン・メイデンは超人気漫画。
この違いは何なのか、どこから生まれてしまったの゙か。
暗殺者ロキへの世間の評価をまとめながら、それをちょっと考えていきたいと思いますー』

イライライライラ…。
もう聞くのやめようかな。

……いや。でも……まだ聞いてみようか。
こうして暗殺者ロキを取り扱っている動画は少ないから貴重だし。この先なにか良いことを言ってくれるかもしれない。

『まず画力は高いんですよ。主人公ヒロキや変身後のロキのデザイン、ヒロインの朱ちゃんの可愛さ。ちょっと正統派すぎますが、どれもよく出来ていると思います』

………お。褒めてる、よな?

『そしてストーリーですが、これもまあよく出来ているというか、特に欠点はないと思うんですよね。王道✕ダークヒーローという感じです。テンポもいいですし、キャラクターも王道で悪くないです』

……ふむ、なるほど。

『でも、なんか…足りないというか…すごく面白いとはならないんですよね。もっと突き抜けるものがほしいというか……チャンプに載るにはもうひと味もふた味も足りない感じがしました』

「………」


『悪いところはないけど、飛び抜けていいところもない。王道ゆえに先も読める。絵はうまいけど、没個性。そしてちょくちょく挟まる、時代遅れの古い感性。そんなわけで、当時から大人気漫画がしのぎを削っていたチャンプで生き残るのは難しかったんだと思われます』

「…………………」