たとえば、傘を振るだけで。
 雨粒が飴玉にかわるみたいな。





 先輩に魔法をかけられた瞬間、世界はキラキラと輝きだして眩しかった。





 そんな飴玉を口の中で転がして、溶けていくまでの時間が好きだったのかもしれない。






 なのに溶けきったら悲しくて。





 ねえ、泣かないでよ。





 空は鈍色、先輩の瞳は濡れていた。