雪は呆然としている。寒風の中さらされ続けて頭はくらくらする。なにより龍胆に迷惑をかけている。おずおずと困ったように、こちらの山を見上げていた。
龍胆は深く息を吐いた。やがて、足元へやってきた子ども――菫に「どうする?」と試すようにいう。
菫は「ぼくが従うのは雪お姉ちゃんだけですよ」と言う。可愛らしい、つぶらな、黒眼だ。
「雪お姉ちゃんは僕の最初の飼い主に似ているんです。今のぼくにとって、雪お姉ちゃんは命そのもの。・・・それを、また人の手で失うようなら」
――あの場にいる全員、まとめて喰い殺す!!
刹那、火車のそれを思わせる真っ青な色へと、瞳が変貌した。
青い炎がばっと燃え、巨大な黒猫が出現する。
「俺も乗せていってくれるかい?」
龍胆は苦笑いして訪ねたが、シャーッ!!と牙をむかれ、辞退した。勢いもそのままに、雪のもとへとまっしぐらに山をかけ降りていく。
「雪・・・、いったいどんな教育をしたんだ」
龍胆はため息を付くと、瞬間、姿を消した。
龍胆は深く息を吐いた。やがて、足元へやってきた子ども――菫に「どうする?」と試すようにいう。
菫は「ぼくが従うのは雪お姉ちゃんだけですよ」と言う。可愛らしい、つぶらな、黒眼だ。
「雪お姉ちゃんは僕の最初の飼い主に似ているんです。今のぼくにとって、雪お姉ちゃんは命そのもの。・・・それを、また人の手で失うようなら」
――あの場にいる全員、まとめて喰い殺す!!
刹那、火車のそれを思わせる真っ青な色へと、瞳が変貌した。
青い炎がばっと燃え、巨大な黒猫が出現する。
「俺も乗せていってくれるかい?」
龍胆は苦笑いして訪ねたが、シャーッ!!と牙をむかれ、辞退した。勢いもそのままに、雪のもとへとまっしぐらに山をかけ降りていく。
「雪・・・、いったいどんな教育をしたんだ」
龍胆はため息を付くと、瞬間、姿を消した。


