僧侶は言う。
「俺と契約しておきながら、つまらん隠居生活が許されると思うな」
「なにっ? あなたは屍食鬼ではなかったのか?」
「どういうことですか? 龍胆さま」
「人斬りだった俺に花散里へ向かい、雪を世話するように頼んだのはこの人だ」
初耳だ、雪は首をふる。
「わたし、この方のことは存じ上げません」
「紅葉。――いや、今は雪というのか」
僧侶は、にこやかに笑う。
「きれいになったな」
――この俺、第六天魔王の娘よ。
雪は目を見開く。次第に止んだ吹雪。吐く息は白く、氷のように冷たい大気を漂って消えた。
「俺と契約しておきながら、つまらん隠居生活が許されると思うな」
「なにっ? あなたは屍食鬼ではなかったのか?」
「どういうことですか? 龍胆さま」
「人斬りだった俺に花散里へ向かい、雪を世話するように頼んだのはこの人だ」
初耳だ、雪は首をふる。
「わたし、この方のことは存じ上げません」
「紅葉。――いや、今は雪というのか」
僧侶は、にこやかに笑う。
「きれいになったな」
――この俺、第六天魔王の娘よ。
雪は目を見開く。次第に止んだ吹雪。吐く息は白く、氷のように冷たい大気を漂って消えた。


