(妖怪の、血の匂い・・・)
菫は普通の猫の姿になると、小梅が消えた先の廊下を、匂いをかぎながら歩いていた。
匂いはいくつかある。
妖怪の匂いが一番強いところが、龍胆の匂い。
小梅の匂い。
人間の男の匂いが二人。
(これは・・・、怪異討伐隊の男のかな? もう一人は知らない)
そして雪の甘い香りと、白檀の香の薫り。
(雪お姉ちゃんと一緒にいるやつは。この匂いは、人ではない・・・!!)
あやめを思い出した菫は、雪のもとへと一目散に駆け出す。
すると、後ろから声がした。菫の足が止まる。
「気配がすると思ったら、猫、ですか」
そのままひょいと片手でつままれ、菫は男の目線まで持ちあげられる。菫はシャーッと威嚇したが、男の異様な美貌に小さくならざるを得なかった。
菫は知っている。このたぐいの人間は、気に入らなければあっさりと首を跳ねるのだと。
男――芍薬は「ふむ」と興味深げに菫を見つめる。
菫は必死ににゃんにゃんと猫らしく努めた。
(普段なら一飲みにしてやるところだけど。雪お姉ちゃんに食べちゃだめって言われてるし)
怪異討伐隊の白木蓮の匂いが迫っている。・・・二人が殺りあったあとで喰ってやるのも悪くない。
芍薬はやがて、菫を腕に抱いた。頬ずりされて、菫はゾワッと毛が逆立つ。
「猫は、一度飼ってみたいと思っていました。ちょうどよかったです」
芍薬はそのまま、菫を連れて歩き出す。
妖怪の匂いが濃い方へ。白檀と竜胆、雪の匂いがする方角へ――・・・。
菫は普通の猫の姿になると、小梅が消えた先の廊下を、匂いをかぎながら歩いていた。
匂いはいくつかある。
妖怪の匂いが一番強いところが、龍胆の匂い。
小梅の匂い。
人間の男の匂いが二人。
(これは・・・、怪異討伐隊の男のかな? もう一人は知らない)
そして雪の甘い香りと、白檀の香の薫り。
(雪お姉ちゃんと一緒にいるやつは。この匂いは、人ではない・・・!!)
あやめを思い出した菫は、雪のもとへと一目散に駆け出す。
すると、後ろから声がした。菫の足が止まる。
「気配がすると思ったら、猫、ですか」
そのままひょいと片手でつままれ、菫は男の目線まで持ちあげられる。菫はシャーッと威嚇したが、男の異様な美貌に小さくならざるを得なかった。
菫は知っている。このたぐいの人間は、気に入らなければあっさりと首を跳ねるのだと。
男――芍薬は「ふむ」と興味深げに菫を見つめる。
菫は必死ににゃんにゃんと猫らしく努めた。
(普段なら一飲みにしてやるところだけど。雪お姉ちゃんに食べちゃだめって言われてるし)
怪異討伐隊の白木蓮の匂いが迫っている。・・・二人が殺りあったあとで喰ってやるのも悪くない。
芍薬はやがて、菫を腕に抱いた。頬ずりされて、菫はゾワッと毛が逆立つ。
「猫は、一度飼ってみたいと思っていました。ちょうどよかったです」
芍薬はそのまま、菫を連れて歩き出す。
妖怪の匂いが濃い方へ。白檀と竜胆、雪の匂いがする方角へ――・・・。


