(人間の子どもの匂い・・・?)
菫は喜びに湧く二人をよそに、ふと外を見た。隙間風から、子どもの匂いがするのだ。
今は夕方。こんな時間に、こんな場所を子どもがうろつくのは不自然だ。
(迷子にでもなったのかな?)
菫はとことこ玄関まで走ると、再び外へ出ていった。
外は猛吹雪だった。菫の粗末な着物の隙間という隙間から、体温が奪われていく。
人間には風の音しかしなくとも、獣には誰がどこで何をしているか、手に取るようにわかった。
(あそこだ)
道中、菫は首をひねった。吹雪の先にいる遭難者の匂いは、取り乱した人間の息遣いではなかった。
ただ、そこに立っているといった感じだ。
やがて、桃色の大きな布が見え、菫は息を呑んだ。
自分と歳のそう変わらない男の子が、奇妙な出で立ちで立っていた。
桃色のベールを頭からかぶっている。みずらに結った髪の、赤い紐が愛らしい。菫の瞳はつぶらだが、この子の瞳はずっと大きい。狩衣に身を包み、一本下駄を素足で履いている。男の子の足は、寒さで真っ赤に腫れていた。
菫を見つけると、男の子はニコっと笑った。
「ねえ、なにしてるの? こんなところで」
「――ふふっ」
菫は問うが、男の子は答えない。
嫌な予感がした。
菫は密かに逃げの体制へ入る。獣の勘とでもいうべきか。
(このボウズ、ぼくより強い・・・!!)
菫のこめかみを、冷や汗がすべる。
男の子はおもむろに、竜笛を唇に添えた。
刹那、すさまじい爆発音が大地を揺るがした。
菫は喜びに湧く二人をよそに、ふと外を見た。隙間風から、子どもの匂いがするのだ。
今は夕方。こんな時間に、こんな場所を子どもがうろつくのは不自然だ。
(迷子にでもなったのかな?)
菫はとことこ玄関まで走ると、再び外へ出ていった。
外は猛吹雪だった。菫の粗末な着物の隙間という隙間から、体温が奪われていく。
人間には風の音しかしなくとも、獣には誰がどこで何をしているか、手に取るようにわかった。
(あそこだ)
道中、菫は首をひねった。吹雪の先にいる遭難者の匂いは、取り乱した人間の息遣いではなかった。
ただ、そこに立っているといった感じだ。
やがて、桃色の大きな布が見え、菫は息を呑んだ。
自分と歳のそう変わらない男の子が、奇妙な出で立ちで立っていた。
桃色のベールを頭からかぶっている。みずらに結った髪の、赤い紐が愛らしい。菫の瞳はつぶらだが、この子の瞳はずっと大きい。狩衣に身を包み、一本下駄を素足で履いている。男の子の足は、寒さで真っ赤に腫れていた。
菫を見つけると、男の子はニコっと笑った。
「ねえ、なにしてるの? こんなところで」
「――ふふっ」
菫は問うが、男の子は答えない。
嫌な予感がした。
菫は密かに逃げの体制へ入る。獣の勘とでもいうべきか。
(このボウズ、ぼくより強い・・・!!)
菫のこめかみを、冷や汗がすべる。
男の子はおもむろに、竜笛を唇に添えた。
刹那、すさまじい爆発音が大地を揺るがした。


