今でも鮮明に蘇るあのとき。

楽しかったアオハルは一瞬にして、トラウマとして心に残り続ける。


数年前の七夕。
その日は偶然土曜日だった。

当時中学生で、バドミントン部に所属していた私は男子バド部の顧問が運転するバスに一緒に乗り、県外遠征へと行っていた。 

最初は、本っ当に楽しかったんだ。


バド部は男女合わせて20人くらいで、男女も先輩後輩も関係なくみんな仲良かった。
だからバスの座席も事前にくじ引きして決めたり、帰りも途中まではお菓子パーティーをしたりと練習試合以外は遠足と変わりない過ごし方をしていた私たち。



それなのに……それなのに…。




「ねぇ……なんか……なんか、臭くない?」


誰かに戸惑った声をきっかけに悲劇が始まった。



焦げ臭いバス
みんなの戸惑う声と叫び声
そしてガソリンの引火で起きた爆発

………失った仲間と友達



逆に助かるわけがない。

そんな事故だったのにも関わらず。



……奇跡的な生き残りが、
私、笠原稀星と早川星郁だった。


生きててよかった?……そんなの到底思えるわけがなかった。


大切な親友も、男友達も、先輩も、そして先生も。
全部全部失った私たちが生きていて嬉しいはずがなかった。



あのときは……喉が潰れ声が出なくなるんじゃないかってほど泣いた。
星郁と泣き叫んだ。



時が戻らないか。

皆が蘇らないか。

それが無理なら………いっそ、みんなと同じように死んでしまいたい。

と何度願っただろう。



それでもそれを行動に移さなかったのは。……移せなかったのは。

星郁という幼馴染でありたった一人の同じ境遇であり……とっても眩しい存在が目の前にいたからだ。



……弱々しくても、何でも、あの時から。…いや、ずっと昔から星郁は私を助けてくれるヒーローで、



私だけのスターだったんだ___