「あはははは、みーつっけた」

 黒く長い髪、白く伸びた腕。
 クラス……いや、この学校一とも言われるくらい美しい夏美は、その赤く形の良い口角を上げた。

 ただそれがどこまでも恐ろしく感じたのは、彼女がその片手に不釣り合いなほどの大きな斧を持っていたから。

 しかも引きずられたその斧が、べったりと地面に血の道を作っている。

「夏美……君は」

 俺の声などかき消すように、大きな他の生徒たちの悲鳴が上がる。彼女はその悲鳴に満足そうな顔をした。

 これは俺の……いや、俺たち全員の罪。
 だからこそ、俺は彼女との日々を走馬灯(そうまとう)のように思い出していた。