恋はデスゲームの後で

「君がカイの幸運の女神様?」
「め、女神!?」
 カイと同じくらい白く、そして陽光のような明るい髪と瞳の色をしたその男性は、てらいなくニッコリ笑って見せた。カイのような何かの企みを予見させる笑みとは違う、人懐こい笑みだ。
「マティアス、離れろ」
「おやおや、妬かれちゃった」
 クスクス笑うと、マティアスと呼ばれた青年は、カイの元ヘと歩み寄った。カイは何故かぶすっとしながら、マティアスを指して言った。
「レア嬢、こいつは第99王子のマティアス=アラヤ=ヒルヴィサーリ。見ての通り軽薄な奴だが、目的は一致しているので今のところは信用していい」
「正確には一人抜けたので、カイは第99王子、俺は第98王子だよ」
「はぁ……えーと……カイ様のつ……」
 さらりと『妻』と言おうとして、詰まってしまった。よくよく考えたら、自分からそう名乗るのは初めてだ。まさかこんなにも緊張して、照れるものだとは思わなかった……!
「つ……つ、つ、つ……!」
「俺の妻となる女性、レア=ハイラ嬢だ」
 呆れたように、カイが紹介を述べる。自己紹介すらできなかったことに落ち込むレアを、マティアスはニコニコしながら見つめている。
「レア嬢か……早速女神様やったらしいね。いやはや、予想以上だ」
「な、なんのことですか?」
「昨日、アーロン一家の賭場から根こそぎ巻き上げたって聞いてるよ。君の幸運の賜でしょ?」
「あれは……!」
 否定したかったが、できない。だって、本当にレアが分け与えた幸運のおかげで勝って勝って勝ちまくったのだから。
「あれ? でもそのこと、どうして……?」
「聞いてない? 君の情報をカイに教えたのは俺なんだ。こんなに早く連れて帰るとは思ってなかったけど」
「情報って……」
 それ以上を聞こうと思ったりもしたが、レアに向けられるマティアスの笑みがなんだか空恐ろしくて、やめた。
「あの……そういえばお二人とも『アラヤ』姓ですが、ご兄弟なのですか?」
「まぁ、腹違いの兄弟ではあるね」
「100人もいれば他人も同じだろうが。俺はルーカスのような奴と血が繋がっているなんて考えたら絶望する」
「そこは俺も同意」
 二人揃って、ケタケタ笑い出した。どうも気が合うらしいことはわかるのだが……結局のところ、二人の関係については触れる気はないようだ。
 その話題を追求するより前に、カイの方が別の話題を振ったからだ。