「「それでは遠慮なくいただきますっ!」」

ただの引き立て役となってしまったイザベラとシモンヌは腹を立てていたが、怒りを収める手立てはスイーツしかない。フォークを手にしたふたりは武装した女戦士のごとく、荒々しくスイーツをたいらげた。

「もっとください! ホール丸ごとでも構いませんから!」
「せっかく来たんですから、元を取らせていただきます!」

いつのまにかニーナが本日の主役となっていた。

「あたし、リアンと一緒に美味しいご飯を食べるのが一番の幸せだなぁ!」
「でも覚悟しておけよ。テーブルマナーを覚えてもらわなければ、僕の正式な花嫁にはなれないからな」
「なに格好つけてるのよ。中身がヘタレなこと、あたしは知っているんだからね。たとえば――」
「やめろニーナ、皆の前では言うなぁぁぁ!」

トリンケンはうっとりした顔でその様子を眺めている。もはやゲゲッセンに反論の余地はなかった。

甘さとほろ苦さに包まれるふたりは、まるでデザートとコーヒーの取り合わせのよう。

そんな仲睦まじい雰囲気を醸すふたりに、イザベラとシモンヌは白旗を上げるしかなかった。

「「はいはい、どーもごちそーさまでしたっ!」」