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それから二日ほど経って、また次の動画がアップされた。タイトルは漢数字の二。まだアカウントの紹介文もないし、名前はランダム英数字のままだ。先日アップされた一にも紹介文はないし、今回の二にも紹介文はなかった。
前回と同じように黒い画面。走る白と黒とグレーで構成された砂嵐のようなノイズ。しばらくして映るのは男の後ろ姿。そしてまたノイズが走る。服装はスーツではない。着替えたのだろうか。それでも、前回と同じ男だとわかる。髪の長さか、それとも佇まいか。
今回もまた、短いものだった。いや、前回よりもさらに短い。
背景はどこだろうか。BGMはなく、画面はわざと暗く加工されているのだろう、昼なのか夜なのかも分からない。
ノイズに交じって時折響く靴音から推察するに、アスファルトではなく、森か、雑木林か、山か。
丁寧に走るノイズが邪魔をして、葉擦れの音はよく聞き取れない。
ふ、と男が足を止めた。
そしてゆっくりと、こちらを、カメラを振り返る。
そういえばこれまで、男の顔は見えず、声も聞こえず、ただ服装だけで男だと判断していた。
男の顔がカメラに完全に映る前、横顔すら映らずにノイズが走り、男は消えた。しばらく誰もいない空間を映してから、動画は終わった。
前回よりはちょっとだけ再生数は多くなったけれど、そこどまりだ。まだ千には再生回数は届かない。五百は辛うじて超えた。
解放されているコメント欄では、平成の頃の呪いのビデオ風がとてもいいと、絶賛されてはいた。けれど、もっと若い世代に見て貰えなければこれ以上の再生数にはならないだろう、というのが、コメント欄の大方の見方だった。