======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
 中津[本庄]尚子・・・弁護士。中津と事実婚だったが正式に結婚した。(今回は出番無し?)
 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。
 中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。
 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
 泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。
 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。

 依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル支配人。
 井関民恵・・・警視庁鑑識課井関権蔵の妻。井関五郎の母。
 井関[新町]あかり・・・五郎と結婚、EITOを離れた。みちるの後輩で仲良し。


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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


 ※このエピソードは、「大文字伝子が行く345」(大文字伝子の冒険384)と連動しています。


 午前9時半。中津興信所。会議室兼所長室。
 マルチディスプレイには、中津警部が映っている。
 「緊急事態だ。夏目さんから極秘依頼だ。深夜のパラ・リヴァイアサンの挑戦状を見たか、健二。」
 「ああ、相変わらず変なメッセージだったが。」
 「メッセージの” courage”は『勇気』、詰まり、結城隊員のことだと言っているんだ、大文字さんは。」
 「敵は、隊員の名前を把握している、いや、した、ってことか、兄貴。」
 「今、やすらぎほのかホテルなんだ。依田さんに替わる。」
 依田が、警部のスマホに出た。中津警部は、スマホで中津興信所にアクセスしていた。
 「結城さんは、先日お見合いして、意気投合して、当ホテルに宿泊を依頼して来られたんですが、ダブルブッキングが発覚して・・・無論当方のミスですが、それで、宿泊を辞退されたんです。それで、社長と懇意の、神保町あけぼのホテルをご紹介したんです。」
 「依田さん、そのホテルのセキュリティーは?」
 「万全とは言えないと思います。元ラブホテルですし。」
 「場所を教えて下さい。」
 正午。神保町あけぼのホテル
 中津興信所の調査は迅速、かつ完璧だった。
 盗聴器がぞろぞろ出てきたのである。
 「展示会出来ますね・・・あ、済みません。」と、泊が頭を掻いた。
 「高崎、依田さんに連絡してくれ。根津と泊は、ホテルの許可貰って押収、警視庁に届けろ。もしもし、兄貴。」
 中津は警部に5個押収したことを報告した。
 「当日、政治家のカップルもお忍びで来ていたらしい。」
 「じゃ、部屋違いで『ゆうきさん』というワードを拾ったか。『えいと』というキーワードと共に。」
 「そう、推理出来るな。」
 「久保田管理官に報告した所、もう先手を打ったらしい。」
 「先手?」「もう、EITOには、ユウキという隊員はいない。新里警視が『改名手続き』に行った。都知事も協力してくれた。今やEITOの『お仲間』だからな。」
 「俺達はどうする?」
 「取り敢えず、事務所で待機してくれ。闘いはまだ始まっていないんだ。」
 「まだ?」
 午後1時。中津興信所。会議室兼所長室。
 「今、高遠さんから、新庄猛士氏が待ち合わせの場所に来ない、と服部コウさんから連絡が入った。」
 「兄貴。DDバッジは?あ、新庄さんは持ってないか。」
 DDバッジとは、大文字伝子及びEITO関係者が持っているバッジであり、GPSでリアルタイム位置情報が把握出来る。所持者がボタンを押すとSOS信号を送れる。
 「ところが、持っている。」
 「え?」「ユウキさんのバッジよね、お義兄さん。」と、公子が言った。
 「お見合いとは言え、激しく愛し合う2人だもの。それに、エマージェンシーガールズは、DDバッジにも通信装置を持っている、って馬越さんが言ってたわ。」
 「ご明察。新町さんが、長野県信濃町から新宿信濃町に向かっている。合流して探し出してくれ。バトルの場所は慶應義塾大学。すぐ側の民音博物館から信号が出ている。」
 警部の説明に、高崎が「保険かな?闘いが不利になった場合の?」と言った。

 午後3時。民音博物館。
 民音に到着していた、あかりと井関民恵が協力して新庄を救出した。
 高崎が危惧した通り、新庄はリモコン式の爆発物を括り付けられていた。
 民恵が、あかりに指示しながら、解体した。
 「危ないところね。さっき聞いた話じゃ、4時に閉館らしいわ。」

 午後6時。閉館していた民音博物館の一室で待機していた中津興信所の面々とあかりだったが、中津が、『戦闘終了』の合図を受け取った。
 皆は、引き揚げることにした。
 「あかり、後は任せます。遅く帰ってよし。」
 「はい。お義母さま。」
 民恵は、新庄と出て行くあかりを見送り、中津達と帰路についた。
 本当は、息子五郎と『現場』で遭うのが照れくさかったのだ。

 午後7時半。中津家。
 中津健二と公子は、素麺を食べていた。
 「ねえ。今夜は、『新婚ごっこ』しない?」
 「今夜も、だろ。」
 二人は子供のようにじゃれ合った。
 ―完―