======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
 中津[本庄]尚子・・・弁護士。中津と事実婚だったが正式に結婚した。
 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。
 中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。
 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
 泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。
 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。
 宮田孝之・・・元京都大学准教授。感染症学者。奸計に填まり、幽閉されていたが、EITO大阪支部に救出された。今は中津興信所の真下の、地下シェルターで研究を続けている。

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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 ※2023年9月に鉄道車両への防犯カメラ設置が義務化
 近年、電車や新幹線の車両内における犯罪やトラブルの発生が社会問題となり、2023年9月に鉄道車両への防犯カメラ設置が義務化されました。

 2月4日。午前9時。中津興信所。所長室兼会議室。
 マルチディスプレイには、中津警部が映っている。
 「いい報せと悪い報せ。どっちを先にする?」
 皆は顔を合せて、唱和した。「いい報せ!!」
 「だろうな。お前達が取り押さえた連中は、闇バイトで雇われたらしい。金一封が出たぞ。じゃ、悪い報せ。アメリカから国際指名手配されていた、岩橋元外務参事官が暗殺された。公安の目をくぐって、いつの間にか帰国していたんだな。自宅PCから『横領された』とされる大金が送金されていた。流石の闇サイトハンターも読めなかったようだな。亀戸のピスミラは矢野警部達が取り押さえたが、別動隊がいたということだ。その別動隊は、オンナらしい。女スパイだな。防犯カメラにちゃんと映っている。こじ開けた形跡はない。岩橋が帰宅した後、どうどうと『合鍵』を使ったんだ。サイレンサーで即死。恐らくIDやパスワードも聞いていたんだろう、スケベおやじから。15分後、出てきた。サングラスをかけている。一応、夏目リサーチに防犯カメラ映像のデータは廻したが、期待しない方がいいだろう。日本に生活していなければ、データはない。入出国も空港とは限らないが、一応は手配した。」
 「新幹線にも防犯カメラ設置が義務化されたが、形骸化している。『個人情報』がどうたら言って、『スパイ組織』が、なし崩しにしたからな。30日保管したら消えるデータじゃなあ。兄貴、そっちは?」
 「無論、手配した。だが、発覚が遅すぎた。ピスミラは、アナログの手段を使ったようだからな。『伝書鳩』だよ。2月1日。大量ではない鳩の群れが目撃されている。岩橋宅にも鳩の糞や羽根が落ちていた。無論、女が去った後、鳩が飛び立っているから、これは?と思った捜査官がいたんだ。」
 「その有能な捜査官って、お義兄さんのことね。」
 「公ちゃん、嫌味キツいな。まあ、EITOでも闇サイトハンターでもキャッチ出来ない情報だった。仕方無いさ。午後から記者会見だ、副総監の。」
 「お年寄りを、寄ってたかって虐めるのね。」と、あきが言った。
 「お前もキツいな。」と、泊が呆れた。
 「しかし、毎度のことと言えば毎度のことだけど、高遠さんのアナグラムの推理力も大文字さんの指揮能力も大したもんですね。」
 「そうだな。」中津は、大文字伝子が本部を離れて池上病院から指示していたことを知っていたが、所員には黙っていた。兄の警部に言われていたこともあるが、プライベートのことが原因だからだ。
 大文字伝子の極秘出産は、一握りの人間しか知らないからだ。
 突然、公子が福豆を中津に投げ出した。
 あきが、便乗して、中津に投げた。
 「おい。俺は鬼じゃない。」と、中津は抵抗した。
 本庄が入って来た。
 「みんな。投げる相手が違うわよ。仕事の鬼!!鬼は外!!」
 本庄が投げた方向はマルチディスプレイだった。
 「おい。止めろよ、悪ふざけは。」「悪ふざけ?ベッドから『むつみ』の最中に抜け出して仕事してたのは、どこのどいつ???私はペットじゃないのよ!!鬼!!鬼は外!!」
 皆は、『直接じゃないからいいだろう』と判断して、マルチディスプレイに向けて、福豆を投げた。
 「鬼は外!!」
 入って来た宮田元准教授が、呆れて眺めていた。
 マルチディスプレイはすぐ消えたが、暫く「豆まき」は続いた。
 ―完―