======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。
 中津(西園寺)公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。
 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
 根津あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。
 本庄尚子・・・本庄病院院長の姪。弁護士。

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 午前9時。中津興信所。所長室兼会議室。
 「私も観たかったなあ。須藤先生のウェディングドレスや白無垢、十二単。」と、根津は言った。
 「依田さんに言って動画送って貰えよ,健二。」と、中津警部が言った。
 「こう言うと失礼だが、もう『終活』に入る人もいる年代だからな。派手にやっても惜しくはない。だから、動画も写真もふんだんに撮ったらしいから。」
 「50年は長いよねえ。」と、公子も言った。
 「あ。ウチは金ないからな。先に言うけど。」と、健二は言った。
 中津警部は笑いながら、「将来の挙式費用の足しになるかどうか分からないが、関係者に謝礼を配られたらしい。今日、モニターじゃないのは、これ預かって来たから。」
 中津警部は、順に配った。
 「多いな。これ、警備のお礼?俺達役に立ったかな?結局、活躍したのは高峰さんと筒井さんだろ?」「まあ、いいじゃないか。臨時ボーナスだな。」
 「警部。本庄先生とは、いつ結婚するんですか?」と根津が尋ねた。
 「ばらすなよ、健二。」「ばらさなくても、皆早くから知ってたよ。尾行も張り込みもしたし。」「誰の依頼だよ。」
 当人の本庄弁護士が入って来て言った。
 「私の依頼よ。まあ、最初に怪しいと思った人物は、総子ちゃんらしいけどね。敬一。いつ判子押してくれるの?裁判するわよ。」
 「勘弁してくれよ、ウチは・・・。」
 「ウチは、貧乏な興信所。聞き飽きたわよ。結婚費用くらい私が出すわ。私は金持ちだから。婿養子に来なさい。婿養子でも上手く行ってるよね、大文字さんと高遠さん。」
 「まあ、そうだけど。」と、中津警部が言い淀んでいると、「もしもし、依田さん?」と、本庄尚子はスマホで電話を始めた。
 それを止めようとした中津警部は、根津と公子にブロックされた。
 「年貢、高く付きましたね。」と泊が言い。「お前、上手いこと言うな。」と高崎が合いの手を入れた。
 中津健二は、ポットに水を入れ、電源を入れた。
 ―完―