冷淡な玄武様はオッドアイの神子の愛に溺れる

「お待たせしました」
『ずいぶんと買ったのですね』
「はい!美味しそうなものばかりで翡翠様から好きなだけ買っていいって仰るからついつい…えへへ」

カロリーさえなければお腹いっぱい食べられて幸せだろうなと考えつつも売場の雰囲気にのまれながらも楽しい買い物ができた。
神子様も喜んでくれればいいな、あわよくば一緒に食べたいなとも考えていた。

「翡翠様…もしかしてご機嫌ですか?」
眉毛を見なくてもリラックスしているようにみえる。
翡翠にくっついている水無月もウトウトしていた。

『緑に囲まれた空間は落ち着きますね』
「翡翠様は緑色好きなんでしたね。あ、イルミネーション!」
屋上庭園の木や花壇周辺に飾りが次々とライトアップされ幻想的だ。

『人工的な光など何が良いのかわかりません』
「綺麗なものは綺麗ですよ。翡翠様が一番お綺麗ですけど」
『…………』
翡翠はフッと小さく笑うと香夜の前に手を差し出す。
その手をゆっくりと開けると翡翠の手のひらにはアクセサリーが。

『先ほど、エレベーターなるもので屋上に向かっている途中で買いました。香夜に似合うと思いまして』
「わぁあ。もしかしてスノードロップですか?」
『札にそんなことが書かれていましたね』

香夜は花に詳しくないが花びらが下に垂れている白い花…名前が可愛いなと思っていた花だ。
翡翠が持っていたのはスノードロップのペンダント。
花の下には短いチェーンで緑の小さな玉が付いている。

「ありがとうございます!家宝にします!私の棺桶に入れてもらって産まれ変わっても身につけます!ありがとうございます!ありがとうございます!」
『大袈裟です。ただの安物ですよ』

ペンダントはティーンズ向けの雑貨屋で購入したので1000円もしないリースナブルなお値段。

「値段じゃないんです!好きな人からプレゼントってだけで嬉しくて嬉しくて……」
『…………』
香夜は嬉し涙を流す。まさか翡翠からこんなサプライズがあるなんて…"香夜に似合うと思った”と言っていた。
つまり自分のことを想ってくれたことも嬉しい。もう嬉しいの言葉以外が出てこない。

『付けてあげましょう…その首輪』
首輪…?ペンダントじゃなくて?ぎりチョーカーならわかるが首輪は色々と語弊がありそうだ。
香夜の首筋に翡翠の手が触れ、目の前には翡翠の美形の顔…ドキドキしてしまう。

「ありがとうございま…わわっ!」
えっ?えっ?と香夜は心の中で何度も呟く。

ペンダントを香夜に付けた翡翠の手は片手は香夜の頭をもう片手は香夜の腰に手を回し抱き寄せる。

(私……今……翡翠様に抱きしめられてるの…なんで……わからないけど……暖かい……ずっとこうしてたいな)

翡翠はハッ!としたように香夜を引き離す。
『……すみません。香夜の肌が冷たかったので……明日から会議ですからね、体調壊されたら迷惑だと思ってですね……今のことは忘れなさい』
翡翠にしては珍しく焦っていた。

「はい…あーあっあっ…い、イルミネーション見学しに行ってきますねー〜」
香夜は恥ずかしくなり誤魔化すように翡翠から離れた。

(キスしたいって思っちゃった…恋人じゃないのに…残念だけど引き離されなかったら理性ぶっ飛んでキスなんてしてたら嫌われてたかもと思ったら…丁度良かったかも)

チラッと翡翠の方をみる。
やっぱり翡翠様の考えはわからない。

「お姉ちゃん!」
「あ、君は……」