冷淡な玄武様はオッドアイの神子の愛に溺れる

「君はこの島でいうところの街に住んでいたんだよね?皆にどんな場所か教えてあげてほしいんだ」
街とは東京のように霊力がない人間が住む場所のことを指している。
島の住人は島から出られないのに意味があるのだろうか?
香夜が困っていると光璃は補足する。
「雪村先生からのリクエストなんだ」
雪村は他の教師から"よそ者”扱いや虐めをされているのではと報告があった。
香夜のことや街の事を知らないから未知の存在だと認識しているのでは?と考え、街の事を知れば興味を持ち、香夜と話すキッカケにもなるとのではと。

問題なのは氷神兄妹。
麗菜子はクラス…1学年しかないので2年のボスで、大半は麗菜子の取り巻きで少数派ながら中立と無関心派がいて、何か決める事があれば麗菜子に決定権があり少数派が反対しても取り巻きの声が大きく少数派は負けてしまう。

雪村は少数派だけでも香夜と仲良くなれば香夜にとっても友達が出来るのはいいことだし、あわよくば玄武の神子として麗菜子に対抗できれば大人しくなるかもと考えた。


「アヤカシの番として正式に嫁ぐと街に行けるようになるし、情報は島のためにもなる」

役に立つのならと了承し、アヤカシである光璃は街にも行けるので、何を話そうか迷っている香夜に質問をしつつわかりやすく解説しフォローしてくれた。

身近な学校のことや学校帰りに友達と寄り道や話題になっているものなどを話す。
「よそ者の話なんか…」と寝たり私語を話ていた生徒たちは島にない物に興味を示した。

「…………」
興味を示す生徒がいる中で爪を噛み、イライラしていた麗菜子。

「なんで島に来たの?街にいれば良かったじゃない?」
麗菜子が香夜に疑問を投げかけるが口調が妙に優しい。
「私には霊力があるから翡翠様と翡翠様の上司の神様の判断でね」
神通力のことは言わない。
初代神子の家系なら神通力のことを知ってそうだが、他の生徒もいるし話していいのかわからないため。

「香夜、知ってるエマか?あいつは長女だけど番がいないエマよ〜」
水無月がニヤッと悪い顔をする。
何もしないでと香夜から言われたので「香夜に教える」手段を取った水無月。

「なんで?長女は番になる掟なんだよね?」
「昔はそうだったエマが、霊力に似合う者同士や霊力に関係なく恋愛によって番になるのが主流エマよ。長女しかいない家庭は断れるけど、相手にされない長女もいるエマね〜〜ぷぷぅ〜」

水無月は煽るようにドヤ顔で麗菜子の方を向けると悔しそうに歯ぎしりをしていた。

香夜はアヤカシや番事情がイマイチわからないので首を傾げたが、他の生徒は「え?麗菜子様って番いなかったの!」「俺は光璃先生の番って聞いたぞ」「番がいないのに威張ってたの?」「霊力強いのに相手にされないって…」「あの性格はアヤカシもお断りなんでしょうよ〜」と小声でクスクス笑っていた。

香夜にもチラホラ聞えていた、麗菜子の事情は知らないので何も言わなかったが、いい気分ではなかった。
水無月は香夜を虐める麗菜子が気に入らなかったので嫌味を言わないと気がすまなかった。
こういうところは飼い主(?)の翡翠に似たのかもしれない。

話し終わり席に戻ろうとすると光璃に呼び止められ、数枚のプリントを渡される。

「2週間後にアヤカシの世界に社会科見学に行くからそのプリント」
「翡翠様の提案だから詳しくは直接聞いてみるといいよ」
翡翠様の提案……なんていい響きだろうか。
北ノ島のことを考えてくれているなんて優しいんだろう。