冷淡な玄武様はオッドアイの神子の愛に溺れる

香夜は立ちがると同時に狙ったのかように
「よそ者は便所で糞でも食ってろよな。きゃはははっ〜!」

声の主は氷神の娘。
「お嬢様の言う通りですよ」
「麗菜子様ったら〜このよそ者の後に使う生徒が可哀想です」
「そう?じゃあゴミ捨て場がよかった?」

氷神家当主の娘は氷神麗菜子《ひかみりなこ》とい
うらしい。
態度が大きくて気付かなかったが化粧が濃く、取り巻きがいるようだ。

「うちは玄武を祀る家柄の私たちが神子になるべきなのにこのよそ者が奪ったのよ!」
「え!泥棒じゃないですか!」
「よそ者のクセに何様だよ!!」
麗菜子が何か言えば取り巻きも一緒に責める。

翡翠のせっかくの弁当が不味くなりそうだと教室を出る。
どこかゆっくり食べられる場所を探そうと歩いていると肩をガシッと掴まれる。

「おい…まだいたのかよ」
今度は氷神家当主の息子の方だ。
「あら?京介様のお知り合いかしら?」
氷神京介《ひかみきょうすけ》、1学年1クラスで香夜のクラスにいなかったので高校3年生で麗菜子は1つ下の妹といったところか。
麗菜子と同じく制服を乱し数名の美人女子生徒を連れていた。

「なにか?」

「なにかじゃなくてさ、さっさと消えろ」
京介は香夜の持つ弁当を奪い窓から投げ捨てる。京介が大笑いすると取り巻きの女子生徒も一緒に笑う。一瞬ポカンとしたが京介に同調しご機嫌取りのためだろうか。
強く言い返せず黙っていた香夜は翡翠の弁当になんてことをと怒りが沸々と沸いた。

「わざわざ2年の階まで来て消えろってあなたが来なければいいでしょう!」
「おれは北ノ島の当主…しかも次期当主様だ。誰に口答えしてる?お前は期間限定なんだってな?期間が終ればパンピー。おれに逆らうと島に住めなくすることだってできるんだぜ?」
口調は静かだが圧が強く、香夜は怯んでしまう。

「アレは翡翠様の手作り弁当エマ。駄目にしちゃったエマね〜あーあーやっちったエマ〜!」
水無月は冷静にジト目で睨むと翡翠の従者に慌ててどこかへ行ってしまう。

「所詮はガキエマ。小物は気にしちゃ駄目エマよ」
勝ち誇る水無月。
「ずっと助けてもらってばっかだね、ありがとう」
お弁当を取りに行こうとすると水無月から止められ
「エマ〜〜!!」と水無月が窓に向かって叫ぶと大きな鳥が現れ、弁当を広い香夜に手渡す。

「もしかしてこの鳥も?」
「翡翠様の使いエマよ。香夜、オイラが近くにいなくても他の使いが香夜を助けてくれるエマから頼るといいエマよ」

誰もいない場所を見つけ、今日はここで弁当を食べることにした。
中は少しぐちゃぐちゃだが味は相変わらずの美味しさにほっこりする。
香夜の弁当の中には水無月のご飯も包まれていた。