冷淡な玄武様はオッドアイの神子の愛に溺れる

緊張しながらも一歩踏み出し、雪村の横まで行き新しいクラスメイトの顔を見る。
クラスメイトらは無言。

「あ、えっと…碧川香夜です。東京から理由あってこちらに来ました!髪と目は産まれつきです」
よろしくお願いしますと頭を下げる香夜。
先程の賑やかな声もなくただただ無言。

「………」
「よろしくね〜…では碧川さんの席は一番後ろの席ね」
「はい」
雪村は気まずい雰囲気を察したのかパチパチと拍手してくれ、席に座るよう促す。

生徒たちの合間を通り席の方へいこうとすると
「え!…きゃっ!」

「ぎゃはははははっ!!」
「きゃははっ!パンツ丸みえじゃん!!」
「ダセェぇぇ!!」
生徒たちは一斉に笑い出す。

「………」
香夜は男性生徒に足を引っ掛けられ転び制服のスカートがめくれてしまった。
転んだ時に手のひらと膝を思いっきりぶつけて痛い。
スパッツを履いていたのでパンツは見えていないが、ただそう言いたいだけだろう。

立ち上がり自分の机までいき、座ろうとすると隣の席の生徒に椅子を引かれ尻もち。
更には前の席の生徒が香夜に向かって机をバーンと強く倒す。

「痛っ…!」
香夜が痛がる姿を見ればまたもやクラス中が大爆笑。

「帰れ!帰れ!帰れ!」
爆笑したと思えば手を叩きながら帰れコール。

学校は楽しい思い出ばかりだったので、きっとこの島でも楽しい学校生活が送れると期待していた。

「島から出てけー!」「よそ者!よそ者!」と机を叩く者まで。

雪村は止めようとしてくれているが生徒たちは聞こえないのかコールをやめようとしない。

耐えらず唇を噛む香夜、教室を出ようとした時。

「痛いエマ……痛いエマよー!!オイラに当たったエマよ!翡翠様にチクってやるから覚悟しろエマ!」

香夜のヘアーアクセサリーになっていた水無月は元の姿に戻るとブチギレるように叫ぶ。

水無月の声に生徒たちは一瞬で静かになる。

「あれって玄武様の……」「従者よね」「なんでここに?」とヒソヒソと話すも気まずそう。

翡翠は島の動物たちを自分の従者としているので、島の住人たちは動物に失礼な事はできない。
特に翡翠が可愛がっているシマエナガの水無月は全住人たちが知るほど有名。
翡翠と一番近い存在だ。

そんな水無月に逆らえない。

香夜の肩に乗り、片翼を香夜側に広げる。
「香夜は玄武の神子エマっ!無礼なことしたら許さないエマよ!」

「玄武の神子?」
「嘘でしょ…神子って尊い存在よ」
口々に驚きと疑問を口にしている。

「次やったらチクるエマ!……香夜、大丈夫エマ?痛い?」
生徒たちへは強い口調で怒るも香夜には雪の妖精のように可愛く優しい口調に変わる。

「ありがとう水無月ちゃん」
モフモフの毛を撫でてあげるとご機嫌になる水無月。
倒れされた机を戻し着席。

「ふん!玄武の神子だからっていい気になってんじゃねぇよ!ブサ女!」
机をドンッと叩く方へ振り向くと知った顔がある。
氷神家当主の子供…香夜の髪を引っ張った女の子。

制服を乱しスカートも短くし足を組んで態度がデカい。
まるでクラスのボス。

「………」
香夜は嫌な家族たちに似ているなと思い、家族の時のようにあえて無視をした。

雪村はオロオロしながらも1時間目担当教師がすでに待っていたので慌ててホームルームを終えると教室から去る。
4時間目が終わると昼休みだ。
授業の合間の休み時間は嫌味を言われ続けた。
香夜は聞こえないフリをし無視をした。
授業中、わりと大人しいのは平和で救いだ。

雪村から昼食は教室、共有スペースの食堂、屋上で食べるようにと聞かされていた。
売店はあるがほとんどは弁当持参だそうだ。

(さて…翡翠様のお弁当どこで食べよう…)

授業中は肩や机に乗ったりとキョロキョロしていた水無月はご飯と聞いてご機嫌だ。