冷淡な玄武様はオッドアイの神子の愛に溺れる

玄関で待っていると短話しだったのかすぐに翡翠も合流。

『香夜、髪が乱れている…頬も赤いですね?』
「えっと…」と話すべきか困っていると先に水無月が口を開いた
「香夜は氷神家の子にぶたれたエマよ!香夜に失礼エマ!」
『そうですか』
翡翠はそれ以上言わずに歩いて行ってしまった。
納得できないのか香夜の頭の上で暴れる水無月。

「水無月ちゃん落ち着いて〜」
そっと抱き上げ撫でて落ち着かせた。


エゾシカとトナカイのソリに乗り、翡翠が人間界の住処にしている右ノ島に帰る。

『この間の部屋を使うように』と言われ部屋で買ってきたものを開封をする。

「香夜、翡翠様が好きって本当エマか?」
「うん。翡翠様って笑うと優しい笑顔になるのが素敵だなって」
嘴で袋や包装を開ける手伝いをしてくれた水無月は突然、尋ねる。香夜が翡翠を褒めると香夜の周りを飛び喜んだ。

「翡翠様は優しいエマ!翡翠様を好きになってくれて嬉しいエマ!翡翠様を宜しくエマ〜〜!!」
水無月の可愛さに癒されていると翡翠が香夜の部屋を食事が出来たと呼びに来た。

テーブルには見栄えも美しい煮物料理が準備されついた。
「これを翡翠様が…!人参が花の形になってて可愛い!」
『おかわりもありますよ』
「料理くらいなら自分でやりますよ」
『やらなくて結構』
学校の調理実習で作ったものしかレパートリーがないが、何から何まで世話になるのは悪いと思ったのだが断られてしまう。

「ですが…」
困っていると水無月が助け舟を出してくれる。
「香夜、翡翠様は好奇心旺盛って言ったエマよね?昔、料理作りに興味持つも自分やオイラたちも作った物食べられないからって断念したことあるエマよ。だから食べてくれる人が現れたから、作ることが叶って嬉しくて楽しいって感じてるエマよ!」
『……あなたは本当にお喋り鳥ですね。そういうことで香夜の食事は私が作ります』
「お願いします!」

手料理を食べることが翡翠のために役に立てるなるならとお願いすることにした。
香夜はチラッと水無月の方をみた。
水無月は「うまうまっ♪」と木の実を美味しそうに食べていた。

(水無月ちゃんが助けてくれなかったら困っていることが多かったなぁ…感謝しなくちゃ)

翡翠の手料理をいただく、翡翠は無言で香夜を見ていた。

「ごちそう様でした」
食べ終わり「皿洗いくらいは私にさせてください」と片付けるが、皿洗いをしている最中も翡翠は無言で見ていた。


自室に戻るとベッドに倒れこむ。

「うは〜…き、緊張した〜〜翡翠様ずっと見てるんだもん。好きな人に見られるのは嬉しいけど翡翠様の前で失敗しちゃいけないって気持ちになる〜」
ベッドの上で左右にゴロゴロし悶える香夜。

外の空気でも吸って気分転換でもと思い、縁側の襖を開けると翡翠がいた。


『遅くなってすみません。今日はお疲れ様でした』
翡翠はエゾシカとトナカイたちに声を掛けながら餌をあげていた。
香夜は隠れるように様子を伺う。

次第にオコジョ、ツキノワグマ、キタキツネが餌を求めやって来る。
初めて見る動物たちに驚いていると翡翠が香夜の方に目を向ける。

(あ…やばっ!)
『隠れていても貴女の霊力と神通力でわかりますよ』
バレてしまったので大人しく姿をみせ、今日買ったスニーカーを履き翡翠の元へ行く。

「この子たちも翡翠様の使いですか?」
『ええ。彼らだけではなく北ノ島と周辺の海にいる生き物は全て私の使いです』
「凄い…沢山いるんですね」
『私は天界で仕事をしていますから水無月のように鳥なら空、イルカは海など得意な地形で島の様子を見て報告をさせています』

(天界で仕事……)

「私がいるから天界に帰れないのですか?お仕事に支障でちゃったり…!」
途端に不安になる香夜。
翡翠は表情を変えることなく答える。
『仕事はここでも出来ますから問題なく』

「……あの私に何かお手伝いをさせてください!」
『余計なことはしないで結構』
「なんでもしてもらってたら私は駄目人間になってしまいます。これから生きて行くために何かさせてください!」
翡翠なら即断るだろうと思ったが引き下がらなかった。翡翠の役に立ちたい、負担を軽くしてあげられないかと考えた。もちろん自分のためでもあるが。

翡翠は無言になり少し考え口を開く。
『そうですね…では動物たちの食事と掃除の世話をしてあげてください』
「はい!頑張ります!!」
動物たちに「よろしく」と挨拶をする。動物たちは水無月のように喋れないが、翡翠は動物たちと会話できるし人間の言葉を理解しているんだとか。

動物たちは香夜に友好的で匂いを嗅いだり、近寄ってペタペタ触っていた。


部屋に戻った香夜は再びベッドの中へ。

「…もっと翡翠様のこと知ることが出来たら役に立てること増えるのかな?」
香夜には翡翠が何を考えているのかサッパリわからない。告白したものの「必要な存在」になるには遠い。