「ちょっと香夜!なにあのあと逃げてんのよ!卑怯者!!」
莉夕はテーブルをバーンと叩き、香夜を威嚇した。
「………」
「なんとか言えよ!」
『卑怯者は貴方たちでしょう…』
香夜が何も言えずにいると後ろにいた翡翠が顔を出し香夜を守るかのように前に出た。
世間体を気にする両親たちはお客様かと急いで笑顔を作る
「どちら様でしょうか?香夜のお知り合いですか?」
『ええ。夜分に失礼かと思いましたが、香夜のことでお話しに参りました。お時間よろしいでしょうか?』「もちろんです!席にご案内します。ほらっ席を立て!お茶のご用意を!」
父親は笑顔で案内する。
自分と他者に対する態度にゲンナリした。
「格好良い…」「香夜がこんな美形連れてくるなんて…許せない」姉たちは翡翠を見ながらコソコソ話していた。
食卓テーブルには香夜と翡翠、向かいには両親が座った。
「お話しとはなんでしょう?まずは香夜との関係をお尋ねしても?」
『私の名は伏せさせていただきます。私と香夜はの関係は主従関係です』
期間限定とはいえ玄武の神子なので間違ってはいないが変に誤解を生みそう。
『香夜を私に売ってくださいませんか?もちろんそれなりの額はお出しします』
香夜もこれにはビックリだ。
つまりは身売り交渉になる。
香夜は家族たちの反応が気になった。
家族と離れたいと願って来たがもし少しでも迷ってくれたら…あわよくば断ってくれたら……
「どこのどなたかわかりませんが、本当に買っていただけるのですか?香夜は見た目の通り、お安くありませんよ」
両親たちは一切の反対もなく喜んで香夜を差し出すようだ。
わかっていても一瞬でも期待した自分が馬鹿だったと顔を俯いた。
『交渉額はこちらでいかがですか?』
翡翠は出掛ける時は手ぶらだったはずだったのだかいつの間にかスーツケースを両親たちの前に差し出す。
両親は恐る恐るケースを開けると大量の一万円札の束が入っていた。
『10億ほどございます。これで香夜を売っていただけますか?』
両親たちは目の色を変え「ぜひ!」とすぐに了承をした。
金に目が眩んだとはいえ、誰かもわからない相手から疑いもせず金銭を受け取るのはさすがに馬鹿過ぎないか?と思うがこれで家族から離れられる。
『私のことは内密に。香夜は死んだことにしておいてください。香夜、必要な荷物だけ荷造りしなさい』
「はい」
翡翠は立ち上がると香夜も急いで立ち上がり自室に向かった。
荷物はほとんどないので制服や学校の物と数枚の服と今は亡きお婆ちゃんから貰った小物を持っていくことにした。
バタバタと走り、翡翠の元へ戻ろうとし足を止めた。
翡翠は廊下で待っていると姉たちに声を掛けられていた。
「あの素敵ですね。恋人はいらっしゃいますぅ?あたし立候補していいですか〜?」
「私も!」
姉たちは翡翠の超絶イケメンで10億をポンと軽く出せる財力に魅力を感じたんだろうか甘えるように媚びていた。
『恋仲の方はいません。私の神生《じんせい》には一番不要なものです』
無表情で翡翠は答える。
「そんなこと言わずに〜私は可愛いから連れて歩くだけで自慢になりますよ。幸せにしちゃいます!」
『私は貴女たちがいない方が幸せですよ。表面だけ見目が良くとも中身が化け物では話しになりません。私の目に映るだけで目が汚れ私は不幸です、消えなさい』
香夜は思わず「うわぁ…」と小さく呟く。
そんな気まずい中、翡翠は香夜を見つけ名を呼ぶと行かないわけにもいかず、姉たちの前を通りすぎた。
姉たちは絶句し言葉を失っていた。
ちょっとだけ姉たちに同情した。
『行きますか』とスタスタと歩いて行った翡翠。
待たせていたタクシーに向う途中、香夜は尋ねる。
「私のために10億なんて大金使っていただきありがとうございます。働いて返します」
『結構。あれは良く出来た偽物ですよ』
「え?それって犯罪じゃ…」
『神に人間の法も罪を問えません』
眼鏡をクイッとする翡翠。
『ですが彼らはどうでしょう?偽札が10万枚あるのです。罪人としてタダでは済まないでしょうね。国を治めるご子息の男は神の裁きを受けることになっています』
「神様だからなんでもありなんでしょうが、捏造までするのはどうかと……」
『私たち神にとっては神通力を持つ人間は貴重ですからそれを亡き者にしょうとした彼らの罪は重い。偽札はあくまで囮です。昨晩、イルカたちに彼らの犯行の証拠を探させ、犯行計画書も海に捨てていましたので、私が香夜の家に隠しておきました。…法を取り締まる者たちは家族が1人いないことや家に不自然にある犯行計画書……もうお分かりですね?』
香夜を殺そうとしたことがバレて塀にぶち込まれる。
保釈されても世間体を気にする家族は辱めを受けてひっそりと生きていくしかない。
「ありがとうございます。でも沈められた後に学校や合コンに行っちゃったんですが大丈夫なんですか?」
『問題なく。神の力で家族など一部を除き今日の貴女に関する記憶を消しました』
神の力、チートすぎて無茶苦茶やりたい放題すぎる。
『香夜は神の子…私のことは翡翠と呼び捨てでタメ口で構いません。私は神の眷属で香夜と同等か格下になりますから』
いきなりそんな事を言われてもと戸惑う香夜。
「では翡翠様は翡翠様のままでタメ口でいいですか…じゃなくていい?」
『ええ』
翡翠とちょっとだけ距離が近づいた気がする。
香夜には翡翠への恋心が少しだけ宿いはじめていた。
莉夕はテーブルをバーンと叩き、香夜を威嚇した。
「………」
「なんとか言えよ!」
『卑怯者は貴方たちでしょう…』
香夜が何も言えずにいると後ろにいた翡翠が顔を出し香夜を守るかのように前に出た。
世間体を気にする両親たちはお客様かと急いで笑顔を作る
「どちら様でしょうか?香夜のお知り合いですか?」
『ええ。夜分に失礼かと思いましたが、香夜のことでお話しに参りました。お時間よろしいでしょうか?』「もちろんです!席にご案内します。ほらっ席を立て!お茶のご用意を!」
父親は笑顔で案内する。
自分と他者に対する態度にゲンナリした。
「格好良い…」「香夜がこんな美形連れてくるなんて…許せない」姉たちは翡翠を見ながらコソコソ話していた。
食卓テーブルには香夜と翡翠、向かいには両親が座った。
「お話しとはなんでしょう?まずは香夜との関係をお尋ねしても?」
『私の名は伏せさせていただきます。私と香夜はの関係は主従関係です』
期間限定とはいえ玄武の神子なので間違ってはいないが変に誤解を生みそう。
『香夜を私に売ってくださいませんか?もちろんそれなりの額はお出しします』
香夜もこれにはビックリだ。
つまりは身売り交渉になる。
香夜は家族たちの反応が気になった。
家族と離れたいと願って来たがもし少しでも迷ってくれたら…あわよくば断ってくれたら……
「どこのどなたかわかりませんが、本当に買っていただけるのですか?香夜は見た目の通り、お安くありませんよ」
両親たちは一切の反対もなく喜んで香夜を差し出すようだ。
わかっていても一瞬でも期待した自分が馬鹿だったと顔を俯いた。
『交渉額はこちらでいかがですか?』
翡翠は出掛ける時は手ぶらだったはずだったのだかいつの間にかスーツケースを両親たちの前に差し出す。
両親は恐る恐るケースを開けると大量の一万円札の束が入っていた。
『10億ほどございます。これで香夜を売っていただけますか?』
両親たちは目の色を変え「ぜひ!」とすぐに了承をした。
金に目が眩んだとはいえ、誰かもわからない相手から疑いもせず金銭を受け取るのはさすがに馬鹿過ぎないか?と思うがこれで家族から離れられる。
『私のことは内密に。香夜は死んだことにしておいてください。香夜、必要な荷物だけ荷造りしなさい』
「はい」
翡翠は立ち上がると香夜も急いで立ち上がり自室に向かった。
荷物はほとんどないので制服や学校の物と数枚の服と今は亡きお婆ちゃんから貰った小物を持っていくことにした。
バタバタと走り、翡翠の元へ戻ろうとし足を止めた。
翡翠は廊下で待っていると姉たちに声を掛けられていた。
「あの素敵ですね。恋人はいらっしゃいますぅ?あたし立候補していいですか〜?」
「私も!」
姉たちは翡翠の超絶イケメンで10億をポンと軽く出せる財力に魅力を感じたんだろうか甘えるように媚びていた。
『恋仲の方はいません。私の神生《じんせい》には一番不要なものです』
無表情で翡翠は答える。
「そんなこと言わずに〜私は可愛いから連れて歩くだけで自慢になりますよ。幸せにしちゃいます!」
『私は貴女たちがいない方が幸せですよ。表面だけ見目が良くとも中身が化け物では話しになりません。私の目に映るだけで目が汚れ私は不幸です、消えなさい』
香夜は思わず「うわぁ…」と小さく呟く。
そんな気まずい中、翡翠は香夜を見つけ名を呼ぶと行かないわけにもいかず、姉たちの前を通りすぎた。
姉たちは絶句し言葉を失っていた。
ちょっとだけ姉たちに同情した。
『行きますか』とスタスタと歩いて行った翡翠。
待たせていたタクシーに向う途中、香夜は尋ねる。
「私のために10億なんて大金使っていただきありがとうございます。働いて返します」
『結構。あれは良く出来た偽物ですよ』
「え?それって犯罪じゃ…」
『神に人間の法も罪を問えません』
眼鏡をクイッとする翡翠。
『ですが彼らはどうでしょう?偽札が10万枚あるのです。罪人としてタダでは済まないでしょうね。国を治めるご子息の男は神の裁きを受けることになっています』
「神様だからなんでもありなんでしょうが、捏造までするのはどうかと……」
『私たち神にとっては神通力を持つ人間は貴重ですからそれを亡き者にしょうとした彼らの罪は重い。偽札はあくまで囮です。昨晩、イルカたちに彼らの犯行の証拠を探させ、犯行計画書も海に捨てていましたので、私が香夜の家に隠しておきました。…法を取り締まる者たちは家族が1人いないことや家に不自然にある犯行計画書……もうお分かりですね?』
香夜を殺そうとしたことがバレて塀にぶち込まれる。
保釈されても世間体を気にする家族は辱めを受けてひっそりと生きていくしかない。
「ありがとうございます。でも沈められた後に学校や合コンに行っちゃったんですが大丈夫なんですか?」
『問題なく。神の力で家族など一部を除き今日の貴女に関する記憶を消しました』
神の力、チートすぎて無茶苦茶やりたい放題すぎる。
『香夜は神の子…私のことは翡翠と呼び捨てでタメ口で構いません。私は神の眷属で香夜と同等か格下になりますから』
いきなりそんな事を言われてもと戸惑う香夜。
「では翡翠様は翡翠様のままでタメ口でいいですか…じゃなくていい?」
『ええ』
翡翠とちょっとだけ距離が近づいた気がする。
香夜には翡翠への恋心が少しだけ宿いはじめていた。



