『貴女の能力についてですが…』
「能力?神通力を持つ人間は何かしら持っているって話でしたよね」 
『ええ。貴女の能力は恐らく2つ。1つはわかりませんが、もう1つは間違いなく"瞬間移動”でしょう』

「瞬間移動…つまりテレポート?」
『香夜は家族に沈められたのでしょう?死を悟った貴女は無意識に能力を使い、無意識に漂流した形で北ノ島へやってきたのです』

だんだん思い出した中は縄で縛られ、袋に詰められ海に投げられた。
脱出不可能の中、助かったのは奇跡的。
その奇跡はきっとこの神通力の力だと納得もいく。

「2つの根拠はなんですか?」
『神通力を持つ者は…貴女にわかりやすく言えばオーラのようなモノを発しています。私なら緑。神の神子は金色、青龍の神子は希少能力ゆえ虹色。白虎の神子は白色とそれぞれ違うのです。香夜には緑と赤の2色見えます』

「へぇ…私には翡翠様の神通力のオーラは見えませんけど」
『貴女の場合は普通の人間がいる場所に育ったからまだわからないのでしょう。…さて香夜、今後についてですが私が香夜の存在を話したところ神から香夜を保護するようにとの命令を受けました』

「保護…?」
どっか監禁されるのだろうかと香夜に緊張が走る。

『私は2つの神通力を持つ香夜に興味があります。……よって香夜、貴女を期間限定で玄武の神子として任命します』


「え……私が翡翠様の……玄武の神子に?……期間限定って?………なぜ神子になる話に???」
驚きのあまり困惑する。
たしかに家に帰りたくない香夜は翡翠にすがり軽い気持ちで神子になるのを望んだが即お断りされた。
嬉しいことだが保護するのになぜ神子になる話しに?期間限定とは?ちんぷんかんぷんだ。


『保護した後、どうするかは神次第。貴女を側に置かなればならない。故に期間限定です』

「なるほど…玄武の神子として頑張ります!!」

『頑張らなくて結構。余計なことをされては困ります』

「う……はい」


「エマぁ?香夜とずっと一緒にいられるエマか?やったエマ〜嬉しいエマよ〜〜!!!」
水無月は香夜と翡翠が話している間、翡翠の肩に乗りウトウトしていたが、神子になると聞き、目をパッチリ覚まし喜んでくれた。


『では神子の契りを交わします。立ちなさい』
「契り?」
立ち上がると翡翠は眼鏡を外し、香夜の腰を抱き寄せるとキスを交わす。

「……ん!」
 
翡翠は目を開けたまま、微動だにしないが香夜は耐えられず目を閉じてしまう。

翡翠の唇が離されると香夜は顔を赤らめ息苦しそうにしていた。

「これが契りですか?」
『神子は神の所有物になりますから、神通力を混じり合わせる必要があるのです』

所有物という言葉にモヤモヤするが初めてのキスを奪われた方がモヤモヤする。

でも家に帰らなくて済む。
翡翠は優しい時もあるが基本的にドライな人なんだろうがあの家族よりはマシだ。


『一度、ご実家に話しに参りましょうか』