香夜は翡翠に連れられ、先ほどのラブなホテルとは比べ物にならなそうな高級ホテルの一室にやってきた。

「あ…すみません！」
翡翠に思わず抱きついていたことを思い出し、恥ずかしがるながら離れた。

『問題なく。濡れてしまいましたね…湯浴みにゆっくり浸かってきなさい』
テーブルの上にあった風呂敷包みを渡す。

「はい。あ…助けてくださり、ありがとうございました」
頭を下げる香夜。
『貴女には価値がある…ただそれだけです』
香夜は「？」となるが翡翠は目を閉じ、それ以上は何も言わない。

「水無月ちゃん、フワフワの毛がボロボロだよ？」
「聞かないでくれエマ！男には戦わなくてはいけない時があるエマよ！」
よくわからないが「オイラも水浴びするエマ〜」と香夜に付いていく。


翡翠の使いだから大丈夫だと言うので、ボディーソープで汚れた水無月の体を洗ってあげる。
ぬるま湯をかけると気持ち良さそうにしていた。

ゆっくりと言われたが、翡翠を待たせるわけにもいかず、急いで風呂からあがる。

風呂敷の中は着替え用の着物が入っていた。


「お待たせしました」と翡翠の元に戻るとテーブル席に座るよう促す。


「あの、姉たちは大丈夫なのでしょうか？凍っていましたよね？」
『私は水と氷の能力があります。ある程度は手加減しましたから問題ありませんよ。彼らは全員グルですから心配する価値などないでしょう』

「グル…」
『貴女を陥れ、自ら命を絶たせようと悪質で低俗な考えに至ったのです。彼らは神の裁きを受けるでしょう…そんな者より貴女のことです』

翡翠は香夜をじっと見つめる。
香夜はドキドキしていた。


『貴女の前から姿を消してから貴女を監視し貴女のことを調査した結果…わかったことがあります。貴女の本当の両親…いえ、先祖のことです』

「先祖？」






『香夜の先祖には神がいます。つまり人間と神の子孫なのです』