近くのホテルに連れて行かれ、突き飛ばすように乱暴にベッドへ。

「なに…ここ?」
「決まってるじゃん。ラブなホテルったらわかるか?」
周りを見回すと姉や他の男性もニヤニヤしており、最初から計画していたんだろう

「俺の財布とカード盗んだんだろ?」
「バッグにありませんでしたよね?」
井澤はニヤッと笑う。

「バッグにないなら体に隠してんだろ?盗んでないなら脱げるよな?それとも脱がして欲しい?」

「………な、なにを言ってるんですか!私、高校生ですよ!犯罪です!」

「これなぁ〜んだ♪」
陽朝の手にはクレジットカード。

「俺のカードじゃん!」
「さっき香夜のポケットから見つけたのよ」
ニヤニヤする姉たちとは反対に香夜は顔色が悪い。

「違います!私はやってません!お姉ちゃん嘘辞めてよ!!」

「あ〜…サツに通報されたくなきゃ、こりゃ全裸土下座だな。ちゃんと撮影しとけよ」

「やめて……やめてください…!」
井澤たち男たちは香夜の体を拘束し脱がそうとし、姉たちはカメラで撮影するためにスマホを向ける。

「陽朝姉さん、これどっかネットにあげようよ。こんなん全国不特定多数に観られるなんて可哀想〜」
「そうね。恥ずかしくて死んじゃうわね〜世の物好き男性の役に立つなんて立派よ!存在価値あってよかったわね、香夜」


暴れて抵抗するも男の力に勝てない。
それでも諦めたくないと思ったその時……


「ぎゃああああっ!!」

「きゃあ!な、なによ!!」

香夜はいつの間にかずぶ濡れになっていた。
スプリンクラーの誤作動かと思ったが、井澤たちの様子から違うと思った。

香夜がずぶ濡れになった時、まるで滝のような大量の水がかかった。
香夜は濡れただけだが、井澤たち男性たちの顔や手が凍っていた。

「なに…何が起きたの?」

フワッと大きな布が香夜の上に覆い被さる


『無価値には香夜の本当の価値がわからないのでしょうね。愚かです』

「翡翠様…!」

声がする方を向くと翡翠が眼鏡をクイッとしながら優雅に立っていた。肩には水無月もいる。

香夜は思わず、翡翠に飛びつき、抱きしめる。
翡翠は眉毛一つ動かすことなく、香夜を受け入れたのか拒むことはしなかった。

『ここから離れましょう。貴女には話したいことがあります』

姉たちは混乱し翡翠の姿に気づいていない。
翡翠は素早く香夜と共に姿を消した。