冷淡な玄武様はオッドアイの神子の愛に溺れる

席に案内されると姉たちはまだ来ていないようで、先に来ていた男性に挨拶をする。

「陽朝ちゃんの妹さん?」
「はい」
「仲の良いって聞いてたから一緒に来ると思ってた。俺の方ももうすぐ来るから」
「姉たちは同じ大学ですから…」
「ふーん。君、可愛いねぇ〜狙っちゃおうかな〜なんて」
「狙う?」

先に来ていた男性は真面目そうなイケメンだが、喋るとちょっと軽そう。
莉夕の狙いの人だろうか?


「ごめん〜香夜待った?あ、三姉妹順の席にするから香夜はあっちね」
「う……うん」
数分後、姉たちと相手の男性がやってきた。
陽朝は香夜の姿を見ると一瞬だけギロッと睨み、仲の良さそうに近づくと香夜の太ももを抓る。


「改めまして〜碧川陽朝です〜」
続いて莉夕と香夜も自己紹介する。

「俺は井澤琢磨。イザタクって呼んでね〜美人三姉妹とか最高〜今日は当たり〜」

先ほどの男性が名乗る。

「私たちこそ当たりですよ。政治家の息子さんなんて彼女いるんでしょ?」
「イヤ〜今はフリーなんだよ」

姉たちと男性たちは楽しくお喋りをしているが、香夜は聞かれれば、姉たちのご機嫌伺いをしながら答える。

二次会でカラオケ行こうかと話す中、店内の時計を確認し「私はそろそろ…」と遠慮する香夜。

「え〜〜じゃあ1曲だけ!香夜ちゃんの歌声聞きたいな〜なんか上手そうじゃね?」
井澤の意見に賛成なのか他の男性陣もこくこくと頷く。
姉たちも「香夜付き合い悪いよ〜」と顔で笑い、目で圧をかけてくる。

仕方なく少しだけならと付いていく。




歩いていると井澤が香夜の肩を抱き寄せ耳元で語りかける。
「ねぇ〜このまま抜けちゃおうよ。香夜ちゃんと2人っきりの場所行こうぜ」

「いえ。帰りますから!」
井澤から離れ、逃げ出すように去ろうとすると

「あれ〜〜財布がない!カードもない!」
井澤が大声で叫ぶと香夜だけではなく、前を歩いていた姉たち合コンメンバーも振り向く。

「どうしたの?」と口々に心配し「会計の時は持ってたよね?落としたの?」莉夕は香夜を見つめ、ニヤニヤと笑う。
まるで犯人が香夜だと確信があるように。

「盗まれたんじゃない?そういえば香夜、お母さんから電話でにスマホ買うお金くれって頼んでたって愚痴ってたよ。バイトクビになって…お金に困ってたもんね…」

全員の視線が香夜にむく。

「違います!私じゃないです!バッグ見てください!」
慌てて否定しバッグを見せるが女性物の香夜のボロ財布しかない。
これで誤解が解けると思ったが、井澤が「おい」と声を掛けると合コンメンバーの男性2人が香夜を羽交い締めにし、口を塞ぐ。