近頃、わが校で生じている心霊現象について、驚くべき新事実が発覚した。
 まずはこちらの図をご覧いただきたい。
 
 これはオカルト研究部の調査で明らかとなった、心霊現象があったという報告を受けた場所をまとめた地図である。
 報告内容としては、以下の通りだ。
 ・チューナーの表示がおかしくなる。(吹奏楽部・2年)
 ・動画撮影をしていると映像が乱れる、録画が停止する。(映像研・2年)
 ・音楽を流していると変な音や声が混じる。(ダンス部・1年)

 オカルト研究部によると、毎年何件かの報告を受けており、これらの現象は本校舎西側1・2階の教室を中心に発生しているのだという。
 そして、この度オカルト研究部からの協力依頼を受けて、新聞部でも調査を行うこととなった。

 そこで、次の内容をご覧いただきたい。

 【特報】窓辺にたたずむ人影!
 皆さんは近ごろ話題となっている怪談をご存知だろうか?
 その名も『窓辺にたたずむ人影』。
 夕方、ふと南校舎から向かいの北校舎をみると、北校舎1階の保健室の窓辺に人影がみえるという。
 保健室は午後5時以降、無人となるため、誰かがいるというのはありえない。
 その人影は、どうやらこちらをじっと見つめているらしい…。
 現在、報告を受けた場所は、支援室、視聴覚室、多目的室である。
 報告件数はここ1ヶ月で4件となっており、現在進行形で増加している。
 もしかすると、わが高校の新たな七不思議の1つとなるのかもしれない。
 新聞部では、引き続きこの件について調査を行っていく。続報を待たれよ!
 
 上記は、『1997年 新聞部月報10月号』より引用したものである。
 これを見て何かお気づきになられないだろうか?
 そう、先ほどのオカルト研究部調査による心霊現象が生じたとされる場所と一致するのである。
 ちなみに、北校舎とは、老朽化の影響で2000年に取り壊しとなった木造2階建ての旧校舎である。場所は現在の本校舎裏に向かい合うように建っており、体育館前の渡り廊下によって両校舎は繋がっていた。

 ここで、もう一度図をご覧いただきたい。
 
 上記は、最初の図にかつての北校舎を当てはめたものである。
 ここまでご覧いただいたらもうおわかりだろう。
 現在報告を受けている心霊現象は、かつて北校舎で「窓辺にたたずむ人影」が出現した保健室から見える範囲で生じていたのである。
 北校舎が取り壊されてから約25年、保健室にたたずんでいた“それ”は今もそこにいるのだろうか。そして、こちらを覗き続けているのだろうか。