最後を飾るのは、園芸部に伝わるとっておきの話である。

 皆さんは、中庭にある花壇のことはご存じだろうか?
 園芸部によって管理されており、四季折々のきれいな花を楽しむことができる。
 しかし、その中で一か所、何も植わっていない場所があるのだという。
 正しくは「何を植えても育たない」だそうだ。

 これについて、Fさん(園芸部・3年)に詳しく話をうかがった。

 そもそも、あそこの花壇って元々は園芸部のものじゃなかったんですよ。
 ほら、園芸部ってこの学校じゃ比較的新しい部活動じゃないですか。10年とかそこらかな?
 なので昔は有志の生徒がお世話してたんですよ。
 いまや校舎裏一帯に並んでますけど、その当時は範囲も狭くて、ちょうどあそこ、美術室の前あたりにチラッとあっただけなんです。
 …だから、今でもあそこはあの子の花壇なんでしょうね。
 当時あの花壇をお世話していた子って病弱な子だったらしくて。学校にきても保健室にいるか、調子がいいときは花壇の世話をするかみたいな感じだったそうです。その子、美術部の子と仲が良かったらしくて、花壇に来るときはいつも窓辺でおしゃべりしてたそうで。
 でも、その子、病弱だったじゃないですか。それで、だんだん本格的に学校に来なくなっちゃったみたいで。でも来た時には細々と花壇の世話は続けてて、最後にその子が学校に来た時に言ったそうです。

 次に自分が学校に来る頃には君の好きな花が咲くと思うよって。
 だから、そこの花壇は目印なんだそうです。2人が再会できたっていう。


 以上で、今年の新聞部夏の特集は終了である。ここまでご覧いただいた読者の皆様には感謝を申し上げる。

 …ところで、最近、例の花壇に芽が出てきているのはご存じだろうか。
 いったい、何の花が咲くのか。気になる方はぜひ確認してもらいたい。
 もしかしたら、2人が再会する日は近いのかもしれない。