さて、ここまでで多くの心霊現象や怪談について取り上げてきたが、皆さんの中には、まだ一度も幽霊を見たことがない、という方も多いのではないだろうか?
 そんな方に朗報だ。なんと、この学校には「霊を呼び出す儀式」なるものが存在するらしい。

 やり方はとても簡単。人がごった返す場所で遠くに向かって手を振るのだという。
 ここで誤って、知り合いに手を振り返されてしまった場合には、場所を変えてやり直していただきたい。儀式は失敗である。
 しかし、もし知らない人に手を振り返された場合。儀式は成功である。
 それが、人ならざる者ということだ。

 我々新聞部は、実際に儀式を行ったEさん(帰宅部・2年)にインタビューを行った。

 俺の兄貴もこの学校の卒業生なんですけど、それでこの儀式のことを聞いたんです。
 それをあの日、放課後残ってた奴らに話して。
 そしたら当然、やってみよう!ってなるじゃないですか。まあ俺も乗り気でしたし。

 でも、放課後だったので教室や廊下にはほぼほぼ人がいなかったんですよ。
 幸い、グラウンドは部活中の人でごった返してました。
 じゃあそれでいこうってなって。俺が代表でやりました。
 そうです。こう、グラウンドに向かって手を振ったんです。
 みんな部活に集中しててこちらには気づきもしません。

 しばらく振り続けてたらふと、こっちに手を振ってるやつがいることに気づきました。
 サッカー部の奴とも、野球部の奴とも違う。古い制服をきた…女子。
 俺たちはおお!ってなりました。噂は本当だった、儀式は成功だ!って。
 で、調子にのってみんなでおーい!って騒ぎながら手を振ったんです。大騒ぎですよ。

 しばらくはそんな調子で大盛り上がりしてたんですけど、途中で様子がおかしいことに気が付いたんです。
 …こっちに向かってきてる。
 よく耳をすませるとサッカー部や野球部の声に交じって「おーい」って声も聞こえました。
 みんなも気づいたみたいで、どうする?って慌て始めました。
 その間も「おーい、おーい」って声がどんどん近づいてきてるんですよ。
 そんで俺は言ったんですよ、どうするもこうするも逃げるしかねえだろって。
 だってどうみてもやばそうなんですもん。長い髪を振り乱して、焼けただれてて…、THE・幽霊みたいな。
 だから俺たち、グラウンドとは反対の校門からダッシュで帰宅しました。

 それからは特になんともありません。
 でもあいつ、あの後どうしたんでしょうね。
 もしかしたら、校舎内に入ってきてたりして…。


 如何だっただろうか?
 幽霊なんて嘘っぱちだ!という方や、幽霊をどうしても見てみたい!といった物好きな方はぜひ、試してみてはいかがだろう。
 もちろん、万が一何かあっても、新聞部は責任を取ることはできないが…。