拝啓、やがて星になる君へ

 やがて一般客への開放時間は終わり、閉会式が始まった。

 全校生徒が体育館に集まり、文化祭実行委員会による挨拶と、アンケートの集計結果の発表が行われた。

 結果は、一位が吹奏楽部。二位が演劇部。三位が軽音部。ステージで発表をする部活が上位三位を占めた。発表のたびに、絶叫のような歓声と悲嘆の声が入り混じる。グラウンドで派手な実験ショーをしていた科学部が四位。そして、文芸部は、五位だった。その後の順位は、もう聞いていない。

 夏美はまだ、姿を見せていなかった。

 八津谷が肩を落として言う。

 「まあ、期待してなかったって言えば嘘だけどさ……四人しかいない弱小部にしちゃあ、いい結果じゃねえの?」

 「そ、そうですよね、あたしたちすごい頑張って、いいものを作れましたし、お客さんの評価もよかったですよね」

 花部さんの前向きな言葉に、八津谷も大きくうなずく。

 「おう、次はもっと部員も増やして、部誌も展示も充実させて、そんで一位をもぎ取ってやろうぜ! っしゃ、燃えてきた!」

 「はい! 星乃くんの作品も好意的な感想が集まってますよ。ファンがついちゃうかもしれませんね。次も素敵な作品を書いてくださいね、星乃先生。なんちゃって、えへへ」

 「……ああ、うん、そうだね」

 そっけない応対しかできない僕を、花部さんは不思議そうに見つめた。

 無謀な願いだったとしても、一位を取ったよと伝えに行って驚かせたかった。夏美を、笑顔にしたかった。

 ――会いに行く理由が、ほしかった。

 そこまで考えて、僕は改めて思い知らされる。