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 原稿用紙の上を、ペンが滑るように動いていく。

 なぜ人は、一人では生きられなくて、こんなにも誰かを求めてしまうのだろう。

 永遠のものなんてない。どんなものにも、いつか終わりは訪れる。関係が壊れてしまえば、繋がりが切れてしまえば、()えることのない傷だけが残るのに。

 彼女の笑顔や、寂しげな横顔を思うと、熱い感情で心が破裂しそうになる。その痛みから、言葉が(とう)々(とう)と溢れていく。僕はそれをペンに乗せて、文字に変え、物語の形に変えていく。

 この恋は、誰にも知られることなく、やがて終わっていく。

 その方がいい。

 想いを伝えて、拒絶されてしまったら、この痛みはきっと僕を壊してしまう。

 だから、物語の中で、どうか眠ってくれ、初恋よ。