花部さんが作ってきたおにぎりを昼食に挟んで、水をかけ合ったり、ビーチボールをトスしたり、砂の城を作ったり、フラッグに見立てた木の枝を取り合ったり……とにかく海で思い付く遊びを次々に風間さんは実行し、僕らを巻き込んだ。
途中、花部さんと八津谷がトイレに行っている時、遊泳の注意事項などが書かれた看板の下で、風間さんがスコップを持って砂を掘っていた。気になったので声をかける。
「何してるの? そんな所で砂遊び?」
「えーっと……えへへ、そのうち分かるから、楽しみにしてて」
「そのうちって、どういうこと」
「まあまあ、いいから。あ、そうだ、ちょっと喉乾いたからお茶買ってきてくれないかな? ほら、あっちに自販機あったよね」
彼女が指さす先には確かに自販機が設置されているが、結構な距離がある。
「ええ……自分で行けばいいじゃないか」
「これは部長命令だよ! ね、お願い!」
「命令なのかお願いなのかどっちなんだよ」
こういう時の彼女が譲らないのはもう身に染みて知っていたので、ため息をついて自販機に向かった。せっかくなので自分の分も買って、二つのペットボトルを持って戻る頃には、風間さんの謎の砂遊びは終わっていた。
彼女が僕を見つけ、笑顔で手を振る。砂浜は白く輝き、空と波は溶け合うように青くて、水平線で入道雲が巨人のようにそびえ立つ。
ペットボトルの汗が手を濡らして、僕は今、真夏の真ん中に立っているんだな、なんて思った。
途中、花部さんと八津谷がトイレに行っている時、遊泳の注意事項などが書かれた看板の下で、風間さんがスコップを持って砂を掘っていた。気になったので声をかける。
「何してるの? そんな所で砂遊び?」
「えーっと……えへへ、そのうち分かるから、楽しみにしてて」
「そのうちって、どういうこと」
「まあまあ、いいから。あ、そうだ、ちょっと喉乾いたからお茶買ってきてくれないかな? ほら、あっちに自販機あったよね」
彼女が指さす先には確かに自販機が設置されているが、結構な距離がある。
「ええ……自分で行けばいいじゃないか」
「これは部長命令だよ! ね、お願い!」
「命令なのかお願いなのかどっちなんだよ」
こういう時の彼女が譲らないのはもう身に染みて知っていたので、ため息をついて自販機に向かった。せっかくなので自分の分も買って、二つのペットボトルを持って戻る頃には、風間さんの謎の砂遊びは終わっていた。
彼女が僕を見つけ、笑顔で手を振る。砂浜は白く輝き、空と波は溶け合うように青くて、水平線で入道雲が巨人のようにそびえ立つ。
ペットボトルの汗が手を濡らして、僕は今、真夏の真ん中に立っているんだな、なんて思った。
