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星化症になった姉の命が、光になって夜空に消えていくのを見届けた後、母と僕は住んでいた家を売り払い、祖父の家に引っ越した。この庭に一つだけ寂しげに立つ姉の星塚を残して、もとの家で暮らすことなんてできないと、母は考えたようだ。
春になると僕は中学生になり、学ランを着るようになった。新しい環境での暮らしには慣れても、姉のいない日常にはいつまでも慣れない。今も、どこか別の場所で生きていて、そのうちふらっと帰ってくるんじゃないだろうか。そうしてまた賑やかな声で、母や僕や祖父を、笑わせてくれるんじゃないか。家にいると、そんなことばかり考えてしまう。
母は前の家を手放す時、生徒から惜しまれながらも料理教室を廃業した。そして祖父の家の近くにあった定食屋で朝から夕方まで働き始めた。初めのうちは、お金が貯まったらこっちでも教室を開く、と息巻いていたけれど、日を追うにつれ疲れた顔で帰ってくることが増えていった。母のいない家は寂しくて、僕は祖父の書斎の無数の本を読み漁って孤独を紛らわした。
星化症になった姉の命が、光になって夜空に消えていくのを見届けた後、母と僕は住んでいた家を売り払い、祖父の家に引っ越した。この庭に一つだけ寂しげに立つ姉の星塚を残して、もとの家で暮らすことなんてできないと、母は考えたようだ。
春になると僕は中学生になり、学ランを着るようになった。新しい環境での暮らしには慣れても、姉のいない日常にはいつまでも慣れない。今も、どこか別の場所で生きていて、そのうちふらっと帰ってくるんじゃないだろうか。そうしてまた賑やかな声で、母や僕や祖父を、笑わせてくれるんじゃないか。家にいると、そんなことばかり考えてしまう。
母は前の家を手放す時、生徒から惜しまれながらも料理教室を廃業した。そして祖父の家の近くにあった定食屋で朝から夕方まで働き始めた。初めのうちは、お金が貯まったらこっちでも教室を開く、と息巻いていたけれど、日を追うにつれ疲れた顔で帰ってくることが増えていった。母のいない家は寂しくて、僕は祖父の書斎の無数の本を読み漁って孤独を紛らわした。
