ひと月後、硬化が全身に及んで動けなくなった姉を、手伝いに来た祖父と母が二人がかりで抱えて、車に乗せて祖父の家まで運んだ。
星化症患者は最後に光になって空に消え、星塚を遺す。だから空の見える庭などのスペースに体を安置する必要がある。自宅には庭がなくて、住宅街でごみごみしているので、星になるのに向いていなかった。それと、視界が広くて緑の多い祖父の庭を姉はとても好きだったから、まだ話をできる時に最後の場所に選んだそうだ。
僕らは縁側から庭に出て、姉の体を庭の中央にそっと置いた。月明かりもない真冬の夜に、姉の体だけが淡く光を放っている。母も、祖父も、静かに涙を流し続けていた。
姉の光は少しずつ強さを増し、眩いくらいになっていく。
「大丈夫よ、さよならじゃないから。ずっとそばにいるからね、美樹」
母が優しい声でそう言うと、姉の光は一筋の流星のようになって、夜空に昇っていった。残された僕たちは、その光の軌跡を、静かに見上げ続けていた。
星化症患者は最後に光になって空に消え、星塚を遺す。だから空の見える庭などのスペースに体を安置する必要がある。自宅には庭がなくて、住宅街でごみごみしているので、星になるのに向いていなかった。それと、視界が広くて緑の多い祖父の庭を姉はとても好きだったから、まだ話をできる時に最後の場所に選んだそうだ。
僕らは縁側から庭に出て、姉の体を庭の中央にそっと置いた。月明かりもない真冬の夜に、姉の体だけが淡く光を放っている。母も、祖父も、静かに涙を流し続けていた。
姉の光は少しずつ強さを増し、眩いくらいになっていく。
「大丈夫よ、さよならじゃないから。ずっとそばにいるからね、美樹」
母が優しい声でそう言うと、姉の光は一筋の流星のようになって、夜空に昇っていった。残された僕たちは、その光の軌跡を、静かに見上げ続けていた。
