「はよーございまーす、、。」
　俺はあくびまじりに挨拶し、席に着いた。
「どうしたの？最近9時5分前くらいに来るようになって。もしかして先輩意識？えらいわね！」
　横から鈴が肩を突いてくる。
「まぁ、、そーっすね。」
　とまたあくびまじりに言った。
雨夜に先輩の意識をしないといけない、と思い、此処1週間、5分前行動を意識している。
8時45分に起きていたのが8時に起きれるようになったのだ。
俺的にはもっと褒めてほしい。
そう思っていると
「依頼が来ました。会議室に集まってください。」
　と影の凛とした声が響いた。
同時にみんなの顔が引き締まった。
「雨夜、、。」
　俺は雨夜に声をかけると、雨夜は大丈夫、と言うように頷いてみせた。

「では、、。今回の依頼人は 宮原巴瑠美(みやはらはるみ)さん、38歳。結婚詐欺に遭い、その犯人の男を殺したいそうです。自殺に見せかけて、殺めたいそうです。策を練りましょう。」
　資料を目にしながら影は話した。
「自殺に見せかける、、。事故ならまだしも、リスクがあるぞ。」
　要が資料をめくりながら呟く。
「自殺に、、何か特別な意味でもあるんじゃないかしら？」
　鈴が憐れむように言った。
「詐欺を行ったことを公にしたいそうです。遺書として残すんだそうです。」
　鈴の言葉に頷きながら影が答えた。

「やっぱり、1番いいのは、、落とす、ですかね、、。」
　俺の発した言葉にみんな揃って頷いた。
「その方向で、進めましょう。」
　影がみんなに向けて言った。

「抵抗されないよう、酒を飲ませよう」「遺書はパソコンですね」「家はマンションですよね。ならそこでいいと思います」
　などと案を出し合い、計画案を作った。
そして影は雨夜に差し出した。
「初の仕事ですね。」
　と影が資料を渡す。
「はい、了解しました。」
　頷く雨夜。
「葉月、しっかり頼みますよ。」
「、、はい。」

──雨夜にとっても、初の仕事だけど、俺にとっても、後輩が出来てから、初めての、、仕事。

影の言葉が重くのしかかる。
かたい表情の雨夜を見て、俺は拳を力いっぱい握った。