夜明けを示す北極星〔みちしるべ〕

俺は初美という女性と結婚した。葉月、初稀という息子たちも生まれた。
だが、初稀が生まれた頃、俺は仕事がうまくいかず初美、そして息子たちにあたるようになってしまった。
まだ1歳にもなっていなかった初稀にも俺は手を出してしまった。
それを見た初美に、離婚を切り出された。
葉月は俺が、初稀は初美が親権を持つことになった。
葉月が自ら父さんと一緒にいる、と言ってくれたからだ。
葉月がいてくれたから、俺はもう一度仕事を頑張ろうと、やり直すことができた。
そして、笹原要という俺の親友が職を与えてくれたおかげで葉月を食わせることができた。
初美、初稀と、もう一度やり直したい、謝りたい。
そう思っていた。
なのに、、。
葉月は自殺。初美は病死。
この2人の死に、滝宮凪が関わっていた。
そして、親友の要と、妻のなつめさんの死も滝宮が関わっていた。
なつめさんが轢き逃げに遭い、その後要は後を追い、死んだ。
それ以降、俺は自分の名を捨て、要と名乗るようになった。
俺、そして要として復讐するため。

えいれい社に初稀が来た時は驚いた。
息子だと、すぐにわかった。
初美が死んだ後から行方がわかっていなかったのだが、初稀だと、わかった。
嬉しかったが、それと同時に初稀も復讐を決意していると気がついた。
自らのコードネームを葉月にしていたり、そもそもえいれい社に初稀を夏樹くんと晄玖くんが仲介したから。
幸い俺のことは誰も気づいていなかった。
だから、影ながら仕事場の先輩、要として見守ってきた。
だが、俺の本当の姿は、、。

──葉月と初稀の父親だ。

初稀が復讐をする前に俺は復讐すると決意した。
息子の手を汚したくなかった。そして、、父親らしいことができなかったからせめて、、。