──そうだ。私は何も悪くない。人を殺してもいないし、ミスもしていない。
大丈夫だ、と言い聞かかせるように深呼吸する。
『だが、、心の底では、、。』
──違う!、、違う、、。違う、、。
「滝宮君?」
──そうだ、、。私は、、。
「滝宮君!」
──罪を、、。
「滝宮君!!」
私を呼ぶ声で、私は正気づいた。
「はい。」
「滝宮君、どうしたんだ?様子がおかしいが。」
「いえ、なんでもありません。」
全ては、、あいつの、、いや、あいつらのせいだ。
私に、お前が殺した、と言葉を放ったから。
この言葉は私の心を深く傷つけている。
地位も、、。人生も、、。私自身も、、奪われてしまうから、、。バレる訳にはいかない。
此処まで地位を上げることができたのは、ある人物のおかげだ。
ある日、私の元に事故にあった患者が搬送された。
だが、、もう息はなかった。
そこへその人物はやってきた。
「今運ばれてきた患者を病死にしていただきたい。」
唐突にそう言った。
「病死?」
「そうだ。」
「何故ですか?」
私は慎重にそう訊いた。
「今亡くなった患者は、私の息子が車で轢いてしまったのだ。少しでも罪が軽くなるよう、病死にしていただきたい。倒れていたところを気づかずに轢いてしまった、なら、、轢き逃げより罪はマシだ。あぁ、轢き逃げと言っても私に電話してきてすぐに現場へ戻りましたけどね。」
冷静な様子で淡々と説明をする。
まるで人の死は当たり前だ、少し早めに摘んでもそれはその人の運命だった。とでも言いたそうだ。
もし自分の親が死んでも、仕方のないことだ。死は誰にでもやってくるもの。遅いか早いかだ、とでも言いそうな人間だと思った。
私が黙っていると
「私はこう見えても警察官でね。息子の罪で私の立場が汚くなる。、、たった一つの小さな息子の悪事で食えなくなるんて、、私はごめんだ。」
──なるほど。息子思いの父親だと思ったが、それは違うようだ。
自分の地位を社会的立場を守るためだったのだ。
息子の悪事を揉み消し、自分はのうのうと社会のトップを生きる。
「どうか頼むよ。」
そいつは私が引き受けるのを当然のように軽く言った。
──こいつを利用する価値はあるかも、、。
私が考えを巡らせている間、自分の立場や地位についてそいつは語り出した。
その人物の身なりからして言っていることは本当のようだ、と、確信した。
「あなたの要求をのみましょう。ただし、、私の要求ものんでください。」
私は真っ直ぐその人物を見つめた。
「面白い。ただでは動かんつもりか。」
口元を歪めた。
「はい。」
私は微笑をたたえ、答える。
「要求とやらを聞こうではないか。」
「私を、、。」
その人物の耳元に口を近づけて囁いた。
「、、わかった。」
短く答え、廊下を歩いて去って行った。
こうして、、今の私の地位がある。
この地位を、落とすなんて、、私は嫌だ。
守り切る、何としてもだ。
『お前が、、。』
──あぁ、まただ、、。
『、、殺した。』
──この声が、私をおかしくしていく。
『お前が、、殺した、、。』
──違う、違うんだ。私は、やってない。
ただ、、。ただ、、。
『お前が、、殺した、、。』
大丈夫だ、と言い聞かかせるように深呼吸する。
『だが、、心の底では、、。』
──違う!、、違う、、。違う、、。
「滝宮君?」
──そうだ、、。私は、、。
「滝宮君!」
──罪を、、。
「滝宮君!!」
私を呼ぶ声で、私は正気づいた。
「はい。」
「滝宮君、どうしたんだ?様子がおかしいが。」
「いえ、なんでもありません。」
全ては、、あいつの、、いや、あいつらのせいだ。
私に、お前が殺した、と言葉を放ったから。
この言葉は私の心を深く傷つけている。
地位も、、。人生も、、。私自身も、、奪われてしまうから、、。バレる訳にはいかない。
此処まで地位を上げることができたのは、ある人物のおかげだ。
ある日、私の元に事故にあった患者が搬送された。
だが、、もう息はなかった。
そこへその人物はやってきた。
「今運ばれてきた患者を病死にしていただきたい。」
唐突にそう言った。
「病死?」
「そうだ。」
「何故ですか?」
私は慎重にそう訊いた。
「今亡くなった患者は、私の息子が車で轢いてしまったのだ。少しでも罪が軽くなるよう、病死にしていただきたい。倒れていたところを気づかずに轢いてしまった、なら、、轢き逃げより罪はマシだ。あぁ、轢き逃げと言っても私に電話してきてすぐに現場へ戻りましたけどね。」
冷静な様子で淡々と説明をする。
まるで人の死は当たり前だ、少し早めに摘んでもそれはその人の運命だった。とでも言いたそうだ。
もし自分の親が死んでも、仕方のないことだ。死は誰にでもやってくるもの。遅いか早いかだ、とでも言いそうな人間だと思った。
私が黙っていると
「私はこう見えても警察官でね。息子の罪で私の立場が汚くなる。、、たった一つの小さな息子の悪事で食えなくなるんて、、私はごめんだ。」
──なるほど。息子思いの父親だと思ったが、それは違うようだ。
自分の地位を社会的立場を守るためだったのだ。
息子の悪事を揉み消し、自分はのうのうと社会のトップを生きる。
「どうか頼むよ。」
そいつは私が引き受けるのを当然のように軽く言った。
──こいつを利用する価値はあるかも、、。
私が考えを巡らせている間、自分の立場や地位についてそいつは語り出した。
その人物の身なりからして言っていることは本当のようだ、と、確信した。
「あなたの要求をのみましょう。ただし、、私の要求ものんでください。」
私は真っ直ぐその人物を見つめた。
「面白い。ただでは動かんつもりか。」
口元を歪めた。
「はい。」
私は微笑をたたえ、答える。
「要求とやらを聞こうではないか。」
「私を、、。」
その人物の耳元に口を近づけて囁いた。
「、、わかった。」
短く答え、廊下を歩いて去って行った。
こうして、、今の私の地位がある。
この地位を、落とすなんて、、私は嫌だ。
守り切る、何としてもだ。
『お前が、、。』
──あぁ、まただ、、。
『、、殺した。』
──この声が、私をおかしくしていく。
『お前が、、殺した、、。』
──違う、違うんだ。私は、やってない。
ただ、、。ただ、、。
『お前が、、殺した、、。』



