「滝宮君、君は腫瘍の存在を知っていたのかい?」
「いいえ。」
 私は院長に尋ねられ、首を振った。

──私が知っていたのは、腫瘍らしきもの(、、、、、、、)の存在だ。確実にそんなものがあるなんて知らなかった。

この会話の後、あの放射線技師は病院を辞めた。
いや、辞めさせられた、の方が正しいだろう。


「お前、母さんの主治医だろ?何で母さんを殺した?」
 突然少年の声が響いた。
「医者なら患者の命守れ!みすみす死なせてんじゃねぇよ!」
 その少年は、あの患者の息子だった。
「おかあさまの命、守れなかったこと、申し訳なく思っています。ご説明した通り、もう進行していて治すのは不可能でした。彼女の体がもってくれませんでした。」
 だが、生きていても余命3ヶ月だったがな。と内心私は思う。
「ふざけんな!母さんのせいだって言うのかよ!」
「いえ、違います。」
「何処が違ぇんだよ!」

──こういえばああ返す、面倒くさい。

「何度も言いますが、、私のミスではありません。」
 キッパリと告げ、立ち去ろうとした。
だが、少年の冷え切った声が返ってきて、足が固まってしまった。
「何言ってんだ?お前、、。」
 恐ろしい、と感じるほどの冷たい視線を私に向けてきた。
「ですから、私のミスではありません。ある、放射線技師の責任です。そして彼はもう辞めました。」
 私も負けじと説明をする。
「、、だから?ミスをしたのはそいつだとして、、。自分は責任はありませんって言いたいのか?でも、、母さんの腹切ったのは、お前だろ?切ったなら、、最後まで責任持って守りきれよ!お前は、母さんを殺した。それは変わらねぇ。、、俺は、お前を一生許さねぇ。」

お前が、、、。殺した、、、。