本州に戻り、昨日は島根県立図書館で●●島殺人放火事件についての記事を集めた。新聞はの内容はどれも似たり寄ったりで、成果なし。週刊誌などの記事も探ってみたが大雑把(おおざっぱ)なことしか書かれておらず、島の伝承と絡めた話はどこにも見られなかった。
 そこで仕方なく、オカルト記事のネタ探しを応用してみることにした。つまり、ネットサーフィンだ。オカルト板の過去スレッドから、●●島殺人放火事件や吉田大岐について語っている掲示板がないか探る。一時間ほど読み漁っていると、少年犯罪についての情報提供を募るスレッドで関連のありそうな書き込みを見つけた。
 話をまとめると

・吉田大岐の両親は事故で死んでおり、親戚に引き取られた。

・彼の誕生日は一九八一年一月十五日で、日干支が「癸巳」だから自分は御子の生まれ変わりだと信じ込んでいた。

・彼は島の歴史や風習を熱心に学び、変人扱いはされていたものの、同級生からイジメられていた事実はない。

・島では十二年に一度、門外不出の秘祭が行われ、事件の年はその周期にあたる。

 真偽のほどは定かではないが、調べたところ日干支の情報だけは確からしい。吉田の犯行が一月十四日で、十六日で満二十歳とされていたことから、誕生日の日付けは書き込まれた内容で間違いない。
 十二年といえば、ちょうど干支が一周する。二〇〇一年は巳年。確か『●●島町役場議事録』によれば、御子の生まれ年である一四一三年も巳年……
 これは信憑性があるかも知れない。書き込みはいまから七年前。一体、これを書いた人物は何者だ?