会社に休暇申請を出し、関西へ。今日は八剱看守長に会った。
彼の見た目は、インタビューテープで聞いたハスキーボイスの印象とは裏腹に、がっしりとした体格の好々爺だった。身長は一七〇センチくらいだろうか。梅干しのようにしわくちゃな顔は日に焼けて、白い短髪とのコントラストが印象的だ。
手塚のことを伝えると、途端に顔色が変わった。なにか思うところがあるらしい。
「ほんで、容体は? 」
「峠は越えて、意識の回復待ちです」
そうか、と大きく息を吐いてから、彼は話題を切り出した。
「最近、草間くんの両親がようやく捜索願いを出したんや。それで僕も彼の部屋に入って調べたら、こんなんが出てきよった」
彼が差し出してきたのは、何冊かの古書だった。
「これ、全部●●島の資料館から盗まれた蔵書らしいわ。しかも……ほれ、見てみ」
彼は一冊のノートを開いて、示した。

《厭呪》……えんじゅとは、他者へ向けた呪術の総称。「厭=いと」「呪い=まじない」……
「な? やっぱり《いとまじ》ってのは碌なもんやあらへん。あんたも早よ忘れた方が身のためやで」
忠告に感謝しつつ、資料としてそれらの写真を何枚か撮らせてもらう。手塚や俺と同じように、草間という男も《いとまじ》の意味を追っていた。そしてどうやら彼は《いとまじ》の意味を《厭呪》すなわち、呪いと解釈して行方をくらませた。
悪い予感がする。彼の足取りを追うべく、明日は●●島へ渡ることを決めた。
【追記】●●島行きの船が土日は出ていないことが分かり、思わぬ足止めを食らう。仕方がないので明日は図書館に行き、歴史書と照らし合わせて草間の資料を精読するとしよう。
彼の見た目は、インタビューテープで聞いたハスキーボイスの印象とは裏腹に、がっしりとした体格の好々爺だった。身長は一七〇センチくらいだろうか。梅干しのようにしわくちゃな顔は日に焼けて、白い短髪とのコントラストが印象的だ。
手塚のことを伝えると、途端に顔色が変わった。なにか思うところがあるらしい。
「ほんで、容体は? 」
「峠は越えて、意識の回復待ちです」
そうか、と大きく息を吐いてから、彼は話題を切り出した。
「最近、草間くんの両親がようやく捜索願いを出したんや。それで僕も彼の部屋に入って調べたら、こんなんが出てきよった」
彼が差し出してきたのは、何冊かの古書だった。
「これ、全部●●島の資料館から盗まれた蔵書らしいわ。しかも……ほれ、見てみ」
彼は一冊のノートを開いて、示した。

《厭呪》……えんじゅとは、他者へ向けた呪術の総称。「厭=いと」「呪い=まじない」……
「な? やっぱり《いとまじ》ってのは碌なもんやあらへん。あんたも早よ忘れた方が身のためやで」
忠告に感謝しつつ、資料としてそれらの写真を何枚か撮らせてもらう。手塚や俺と同じように、草間という男も《いとまじ》の意味を追っていた。そしてどうやら彼は《いとまじ》の意味を《厭呪》すなわち、呪いと解釈して行方をくらませた。
悪い予感がする。彼の足取りを追うべく、明日は●●島へ渡ることを決めた。
【追記】●●島行きの船が土日は出ていないことが分かり、思わぬ足止めを食らう。仕方がないので明日は図書館に行き、歴史書と照らし合わせて草間の資料を精読するとしよう。
