夏休み中のとある日。
船川高校の二年一組の生徒だけが学校に集められた。
理由は明確にされなかったが、担任から絶対に休むなと言うメールが届いていた。
今までの担任のメールとは少し違う感じだったが、それは気のせいだろう。
いざ学校に行ってみると、教室の黒板に一枚の紙が貼ってあった。
──全員揃うまで待て
彼らは指示に従いは全員が揃うまで待つ。
最後の一人が席について数分後。
前のドアが開き一人の男が入ってくる。
最初はその場の誰もが担任だと思っていた。
しかし、このクラスの担任は四十代。
入ってきたのは明らかにそれより若い男。

「皆さん揃っていますね。今からこのメンバーでとあるゲームをしてもらいます」
急に現れて淡々と話す男に、その場の誰もが戸惑っている。
「いきなりゲームってなんすか？ てかあんた誰ですか？」
結城が男に向かって発言する。
彼は2年1組の王様的存在。自分が気に入らないものはとことん嫌う性格だ。
急に現れ話を進めるその男に、敵対心を持っていた。
「私の名前は黒田です」
男は黒田と名乗り、ゲームのことには一切答えなかった。

「今から皆さんにやってもらうのは人狼ゲームです。詳しい情報は黒板に貼っておきます。
各自確認しておいてください。20分後にゲームを始めます」
黒田はそう言って、教室を後にした。
もちろんクラス全員がその場の状況を理解出来ていなかった。

「どういうことだよ」
「だれなのあの男」
クラス全員が不安に苛まれている中、恭平がみんなに声をかける。
「とりあえず言われた通りに内容を確認しよう」
恭平はクラス全員から慕われている男。彼の指示にクラス全員が従う。

『各々書かれている教室へ向かえ。
もし学校から出ようとした者には恐ろしい罰を与える
役職を確認したら教室に戻ってこい
そしたらゲームスタートだ』

黒板にはそう指示されていた。
恐ろしい罰とは一体どんなものなのだろうか。
生徒達は各々指定された教室へと散らばる。