9番 杉浦恭平

「昨晩の犠牲者は愛菜さんです。それでは追放する人を決めてください」
「愛菜どうして・・・・・・」
愛菜の死に飛鳥は啜り泣く。
結局愛菜の役職は分からずじまいだった。
だけど、残りのグレーは2人。
凛香と大和のどちらかが人狼ということになる。
大和は俺にとって大切な友達だ。
だから人狼であっても大和を追放なんてしたくない。
頼むから人狼じゃないでくれ。

「大和と凛香のどちらかが人狼なんだよな?」
「今までのを踏まえると、そうなるよな・・・・・・」
もう俺達は話す気力もない。
何人ものクラスメイトが殺される姿を見てきたから。
「私が人狼なの」
「え?」
「このターンに私を追放すれば全てが終わるの。だから私を追放して」
「え、なんでそんなことを言うんだ?」
凛香の突然のカミングアウトに、俺達は理解が追いつかない。
なぜここで人狼だと暴露するんだ。

「もうこれ以上誰も殺したくないの・・・・・・」
凛香はとても震えていた。
それもそうだ。クラスメイトを自分の手で殺したのだから。
こんな風になるのも仕方ない。
「飛鳥聞いて欲しいことがあるの・・・・・・」
「なに・・・・・・?」
「信じてもらえるか分からないけど・・・・・・愛菜は自分の命と引き換えに飛鳥を守ったの。だから私は愛菜を殺してなんかない・・・・・・」
自分の命と引き換え?
そんなことが出来るのか?
確かに愛菜は役職持ちだと言っていた。
それなら辻褄が合う。
「愛菜のバカ・・・・・・一緒に生き残んないと意味無いでしょ・・・・・・」
教室に飛鳥の泣き声が響く。
大切な親友が自分を生かすために死ぬなんて、そんなの辛すぎる。

「愛菜の話を聞いたらこれ以上誰も殺したくないと思ったの・・・・・・だから黒田さん私を追放して下さい」
「みなさんそれでいいんですか?」
俺達は静かに頷くことしか出来なかった。
「それでは凜香さんを追放します」

「クラスメイトを殺しといてこんなことを言える立場じゃないのはわかってる。だけどみんなと出会えてよかったよ。ありがとう」

──バンッ!

死亡者
蛇沢凛花