16番 松野愛菜

この高校に入って初めて仲良くなったのは飛鳥だった。
小さい時から大人っぽかった私は、いつだって周りから近づきにくい存在だと思われていた。
高校になってもすぐに友達なんて出来なかった。
みんな私のことを怖がって、近づこうとしなかった。そんな私に声をかけてくれたのが飛鳥。
私とは完全に真逆の存在なのに、彼女は私と仲良くしてくれた。
高校生活が不安だった私にとって、飛鳥は救いの存在だった。
その日から私は飛鳥だけは何があっても守ろうと心に決めた。
私達は周りからは姉妹みたいと言われることも多かった。
私はそれがただ嬉しかった。
飛鳥と家族のような気になれて。

残りの人数を考えると、きっとあと数ターンで終わってしまうだろう。
市民が勝とうと人狼が勝とうとどっちだっていい。
私は飛鳥が生きてくれればそれだけでいい。
私の役職は"聖職者"。
自分の命と引き換えに誰か一人を選び、その人は絶対に生き残るというもの。
本当だったら最初のターンで役職を発動しても良かった。
けれど死ぬのが怖くて出来なかった。
だけどさっきのターンで飛鳥は私を庇ってくれた。
その時、私は決心がついた。
飛鳥の為なら私は命を捧げる。
これが私が飛鳥に出来る恩返しなのだ。

「黒田さん、私の命を捧げるから飛鳥を生き残らせて下さい」
「本当にいいんですね?」
「私の人生に色がついたのは全て飛鳥のおかげ。大好きな彼女のためなら命を捧げるわ」
「分かりました」

きっと飛鳥は私の役職なんて分からない。
それでもいい。
これから先幸せな人生を過ごして欲しい。
私は心から飛鳥の幸せを願ってるよ。
飛鳥・・・・・・大好き

──バンッ!

死亡者
松野愛菜