14番 長岡慎也
夜のターンが終わり、教室に向かう途中恭平と出会った。
「お互い無事に生き残れたな」
「そうだな、慎也は誰が人狼だと思うか?」
夜のターンに色々と考えたが、誰が人狼なのかはまだ予想がついていない。
「でも、茜音の最後の言葉不可解だよな?」
「陽菜は人狼じゃないってやつか?」
「そうそれ」
きっと茜音の喋り方的に彼女は人狼で確定だろう。
となると、咲希が預言者だと言うことも本当のはず。
それなら陽菜が人狼じゃないというのはどういう事だ。
「茜音の嘘っていう可能性は?」
「確かにそれも有り得る」
それも有り得るが、あの状況で普通嘘を言うだろうか。
考えても何も答えが見つからない。
「それよりあの黒田ってやつ。あいつの正体分かったか?」
「その事なんだけど、俺の部屋にこんな新聞があったんだ」
恭平は俺に新聞の一部分を見せる。
「え・・・・・・これって・・・・・・?」
そこに書かれていたのは、学校教師が自殺したという記事。
驚くべきことにその教師は俺達の担任である桜井先生だった。
「黒田って男は桜井先生に少し似ていた。もしかしたらこの自殺と何か関係があるんじゃないか」
恭平の言うことには一理ある。
認めたくないが、俺達のクラスは担任である桜井先生を嫌っていた。
毎日話しは長いし、授業はつまらない。それに課題は毎回多い。
クラス全員が嫌っていたと言ってもいいだろう。
「もしかしたら自殺したのって俺達が原因なんじゃないか・・・・・・?」
「だとしたら黒田が桜井先生の関係者で、このゲームを企画したのも納得がいく」
俺達はどんどん真相をつきとめていく。
本当かどうかは分からない。だけど今考えられる中ではこの可能性が1番有り得る。
「慎也、この話は今は2人だけの秘密にしよう」
「そうだな」
そこで俺達は話を終えた。
「昨晩の犠牲者は咲希さんです。それでは追放する人を決めてください」
やっぱり咲希が襲撃されたか。
こうなることは大体予想がついていた。
今の状況で分かってることは、飛鳥と侑真が市民側ということ。
これだけじゃ中々人狼を絞ることは難しいだろう。
「慎也そろそろ俺達の役職を明かそう」
「そうだな」
「俺と慎也の役職は共有者ってやつで、お互いがお互いを分かりあっている」
この役職をカミングアウトすることで、残り8人のうち4人がグレーになる。
人狼の可能性があるのは、隆、愛菜、凛香、大和の4人。
「ていうか、今までで隆一言も喋ってないよな?」
大和の発言で確かにと思った。
隆はクラスでもいつも一人だった。
だから人狼ゲームが始まって以降、一言も言葉を発していない。
「確かに、隆の役職は何なんだ?」
「市民。別に追放したければ追放すればいい」
隆の態度は最悪だった。
完全に俺達と話すつもりは無いようだ。
でもこれじゃあ隆が人狼なのか分からない。
「それじゃあ困るんだよ。みんなで話し合わないと分からないんだよ」
「いつも一人の僕が何を言ったって、君たちは信用しないだろ?」
「それは・・・・・・」
隆の発言にぐうの音も出ない。
確かに今の俺は隆が市民と言っても、信用することなんて出来ない。
きっとそれは俺だけじゃない。
人狼ゲームは嘘をつくのが当たり前。
普段関わりのない隆のことを信じることは容易ではない。
「僕は別に死んだって構わない。だから君たちで話し合いなよ」
「隆は一旦置いといて、他の三人は?」
「私は市民だよ」
「俺も人狼じゃないぞ」
「私は役職はあるけど、人狼じゃないわ」
やはり人狼と言うやつは現れないか。
一つだけ気になることはある。
「愛菜はなんの役職かは言えないのか?」
恭平も同じ疑問を持ったようだ。
このゲームにどんな役職があるのか俺達は知らない。
しかしこの終盤で、役職を隠す必要はあるのか。
「ごめんなさい、それだけは言えない。だけど私は本当に人狼じゃない」
「そう言われても役職が分からないとな・・・・・・」
役職を明かしてくれないと、愛菜が人狼では無いと言いきれない。
「私は愛菜は人狼じゃないと思うよ」
愛菜を庇うように飛鳥が言う。
「それはどうしてだ?」
「私はいつも愛菜と一緒にいる。だから分かるの。愛菜は嘘なんかついてないと思う」
それじゃあ理由にはならないと思う。
だけど愛菜と飛鳥がずっと一緒なのは俺達も知っている。
誰を追放すればいいのか決められない。
「それでは追放する人を決めてください」
遂に追放の時間になってしまった。
「仕方ない、悪いが今回は隆を追放しよう。みんなそれでいいか」
俺は全員にコンタクトをとった。
全員静かに頷いた。
「それでは隆さんを追放します」
「どうせ生き残れる人なんてほとんど居ないんだ。精々頑張りなよ」
──バンッ!
死亡者
岩本隆
夜のターンが終わり、教室に向かう途中恭平と出会った。
「お互い無事に生き残れたな」
「そうだな、慎也は誰が人狼だと思うか?」
夜のターンに色々と考えたが、誰が人狼なのかはまだ予想がついていない。
「でも、茜音の最後の言葉不可解だよな?」
「陽菜は人狼じゃないってやつか?」
「そうそれ」
きっと茜音の喋り方的に彼女は人狼で確定だろう。
となると、咲希が預言者だと言うことも本当のはず。
それなら陽菜が人狼じゃないというのはどういう事だ。
「茜音の嘘っていう可能性は?」
「確かにそれも有り得る」
それも有り得るが、あの状況で普通嘘を言うだろうか。
考えても何も答えが見つからない。
「それよりあの黒田ってやつ。あいつの正体分かったか?」
「その事なんだけど、俺の部屋にこんな新聞があったんだ」
恭平は俺に新聞の一部分を見せる。
「え・・・・・・これって・・・・・・?」
そこに書かれていたのは、学校教師が自殺したという記事。
驚くべきことにその教師は俺達の担任である桜井先生だった。
「黒田って男は桜井先生に少し似ていた。もしかしたらこの自殺と何か関係があるんじゃないか」
恭平の言うことには一理ある。
認めたくないが、俺達のクラスは担任である桜井先生を嫌っていた。
毎日話しは長いし、授業はつまらない。それに課題は毎回多い。
クラス全員が嫌っていたと言ってもいいだろう。
「もしかしたら自殺したのって俺達が原因なんじゃないか・・・・・・?」
「だとしたら黒田が桜井先生の関係者で、このゲームを企画したのも納得がいく」
俺達はどんどん真相をつきとめていく。
本当かどうかは分からない。だけど今考えられる中ではこの可能性が1番有り得る。
「慎也、この話は今は2人だけの秘密にしよう」
「そうだな」
そこで俺達は話を終えた。
「昨晩の犠牲者は咲希さんです。それでは追放する人を決めてください」
やっぱり咲希が襲撃されたか。
こうなることは大体予想がついていた。
今の状況で分かってることは、飛鳥と侑真が市民側ということ。
これだけじゃ中々人狼を絞ることは難しいだろう。
「慎也そろそろ俺達の役職を明かそう」
「そうだな」
「俺と慎也の役職は共有者ってやつで、お互いがお互いを分かりあっている」
この役職をカミングアウトすることで、残り8人のうち4人がグレーになる。
人狼の可能性があるのは、隆、愛菜、凛香、大和の4人。
「ていうか、今までで隆一言も喋ってないよな?」
大和の発言で確かにと思った。
隆はクラスでもいつも一人だった。
だから人狼ゲームが始まって以降、一言も言葉を発していない。
「確かに、隆の役職は何なんだ?」
「市民。別に追放したければ追放すればいい」
隆の態度は最悪だった。
完全に俺達と話すつもりは無いようだ。
でもこれじゃあ隆が人狼なのか分からない。
「それじゃあ困るんだよ。みんなで話し合わないと分からないんだよ」
「いつも一人の僕が何を言ったって、君たちは信用しないだろ?」
「それは・・・・・・」
隆の発言にぐうの音も出ない。
確かに今の俺は隆が市民と言っても、信用することなんて出来ない。
きっとそれは俺だけじゃない。
人狼ゲームは嘘をつくのが当たり前。
普段関わりのない隆のことを信じることは容易ではない。
「僕は別に死んだって構わない。だから君たちで話し合いなよ」
「隆は一旦置いといて、他の三人は?」
「私は市民だよ」
「俺も人狼じゃないぞ」
「私は役職はあるけど、人狼じゃないわ」
やはり人狼と言うやつは現れないか。
一つだけ気になることはある。
「愛菜はなんの役職かは言えないのか?」
恭平も同じ疑問を持ったようだ。
このゲームにどんな役職があるのか俺達は知らない。
しかしこの終盤で、役職を隠す必要はあるのか。
「ごめんなさい、それだけは言えない。だけど私は本当に人狼じゃない」
「そう言われても役職が分からないとな・・・・・・」
役職を明かしてくれないと、愛菜が人狼では無いと言いきれない。
「私は愛菜は人狼じゃないと思うよ」
愛菜を庇うように飛鳥が言う。
「それはどうしてだ?」
「私はいつも愛菜と一緒にいる。だから分かるの。愛菜は嘘なんかついてないと思う」
それじゃあ理由にはならないと思う。
だけど愛菜と飛鳥がずっと一緒なのは俺達も知っている。
誰を追放すればいいのか決められない。
「それでは追放する人を決めてください」
遂に追放の時間になってしまった。
「仕方ない、悪いが今回は隆を追放しよう。みんなそれでいいか」
俺は全員にコンタクトをとった。
全員静かに頷いた。
「それでは隆さんを追放します」
「どうせ生き残れる人なんてほとんど居ないんだ。精々頑張りなよ」
──バンッ!
死亡者
岩本隆