17番 宮部玲音

そろそろ俺もみんなの役に立ちたい。
俺の役職は騎士。
人狼の襲撃から誰かを守るというもの。
しかし、まだ一人も守れてなんて居ない。
俺が守れてたらもっと犠牲者を減らせていたのかもしれない。
そう考えると、毎ターンごとに罪悪感に苛まれる。
今回のターンは咲希を守ると決めていた。
預言者は人狼にとって1番厄介な存在。
きっといち早く消しておきたいはずだろう。
本当だったらずっと守っていたい人がいる。

このクラスになった時から俺は茜音に恋をしている。
教室で一人、本を読んでる姿に気がついたら目が離せなくなっていた。
完全に一目惚れだ。
だから俺は彼女にだけはどうしても生きて欲しかった。
欲を言えば俺が彼女を守ってあげたかった。
彼女が襲撃されないことだけを俺は願う。

「というか人狼は誰なんだろうな」
咲希の話が正しければ、一人は陽菜で確定だろう。
となると、残りの人狼は一人か、それとも二人だろう。
咲希が生き残ってくれればゲームはだいぶ楽に進められる。
こんなよく分からないゲームで死んでたまるか。
その時、教室の後ろのドアが開いた。

その時に俺は悟った。
今までのターンでドアが開いたことなんて一度もない。
ドアが開く理由なんて一つしかない。
「はぁ、まさか俺が襲撃され・・・・・・え・・・・・・」
俺の教室に入ってきたのは、黒田と銃を持った茜音だった。

「茜音、お前が人狼だったのか・・・・・・?」
「ごめんね、私が人狼なの」
「ははっ・・・・・・」
俺は失笑する。
死んで欲しくないと思い、ずっと守っていたかった人に、殺されてしまうなんて。
こんな話がありえるのか。
神様なんてこの世にいねぇんだな。
「何がおかしいの・・・・・・?」
首を傾げる茜音のその姿はやはり愛おしい。

「好きな人に殺されるって考えたらおかしくてさ」
どうせ死ぬならせめてこの想いを伝えてから死にたい。
「どういうこと?」
「二年になってからずっと俺は茜音が好きだったよ。殺される前にこんなこと言って悪いな」
ほんの少しでもいい。
茜音の頭の片隅にでも、俺のことを記憶して欲しい。
俺は市民側だから市民側に勝って欲しいと思っていた。
だけど、茜音が人狼なら茜音に生きて欲しい。
俺の願いはただそれだけ。

「ありがとね玲音くん。じゃあ・・・・・・死ね」

──バンッ!

死亡者
宮部玲音