6番 黒崎陽菜

ゲームが始まってからまだ一時間も経っていない。
それなのにクラスメイトがもう5人も死んでいる。
きっとさっきのターンにも誰か一人は殺されたのだろう。
今はただ自分が生きていられてることに安堵する。
こんなゲーム早く終わって欲しいな。

「昨晩の犠牲者は駿太さん、遥希さん、凪砂さんです。それでは追放する人を決めてください」
「は? おい、どうゆう事だよ・・・・・・!」
「なんで一気に三人も居なくなってるの・・・・・・」
凪砂が死んでしまうことは分かっていた。
駿太と遥希のどちらかは人狼にやられたんだ。
それじゃあもう片方はなんで死んだの?

「きっと駿太くんか遥希くんは何かの役職の問題で殺されたのかもしれない。今は誰を追放するか話し合おう」
飛鳥の発言でみんな一度平常に戻る。
「飛鳥の言う通りだな。今はいち早く人狼を見つけ出そう」
「あの私からいいかな?」
今まで特に発言して来なかった咲季が言う。
なぜか咲季は私の方をちらちらと見てくる。

「私の役職は預言者なの」
ここに来てやっと預言者が現れた。
これできっとゲームが動くだろう。
「1日目は飛鳥を占って市民。2日目は侑真くんで市民。そしてさっきのターンは陽菜を占って人狼だった……」
「え……?」
何かの聞き間違いだろうか。
予想外のところから私に矛先が向く。

「陽菜本当なの……?」
「違う! 私は人狼じゃないよ! ほんとなの!」
私の教室には市民と書かれた紙が置かれていた。
だから人狼であるはずがない。
咲季が嘘をついているとしか思えない。
「一応確認するけど、他に預言者の人はいる?」
誰でもいい。本当の預言者が出てきてほしい。
だけど、手を上げる人なんて誰もいなかった。
「なんでよ・・・・・・? 私は本当に違うの!」
どんなに弁解しようとしても、みんなからの冷たい視線は無くならなかった。
どうして市民なのにこんな目に遭わないといけないの?

「陽菜悪いけど今のお前が何を言ってももう無駄だよ・・・・・・」
恭平から言われた言葉が私の胸に刺さる。
これ以上何を言っても私は殺されてしまうんだ。
それならもう諦めよう。
私がいくら騒いだって、誰も私の味方をしてくれない。
だけど、何もしないまま死ぬのなんて嫌だ。
「分かったよ。私のことを追放していいよ。だけどこれだけは信じて。私は本当に人狼じゃない」
「・・・・・・」
みんな何も言わなくなっちゃった。
私は余計なことを言ってしまったかな。
どうせ死ぬなら私は市民に勝って欲しい。
私の分も生き残って欲しい。
「それじゃあ陽菜さん何か言い残すことはありますか?」

言い残すことか・・・・・・
「私はこのクラス大好きだよ。だから市民のみんな必ず勝ってね」

──バンッ!

死亡者
黒崎陽菜