作成:森 兼寛(軍医)
氏名 四ツ谷 弾左衛門
所属 第八師団
階級 上等兵
作成日 十二月八日
・創傷の部位・程度
一 前胸部擦過傷:15センチ四方の傷口。出血を防ぐためか、自ら土を塗りたくっており、化膿。
ニ 左橈骨頭骨折:疼痛等の主訴はなく、自覚症状なし。
三 外鼻支持組織挫滅創:爆風により外鼻が断裂。骨が露出し、出血多量。
・経緯
十二月七日:南鶏山北堡塁にて地雷を踏み抜き受傷。
十二月八日:戦列復帰
・軍医による付記
顔面が血まみれ、意識喪失状態で担送。
右手に断裂した鼻を握りしめており、衛生兵が拳を開けようとしたが、びくとも動かず。余談であるが、あれほど大きな鼻は稀である。患者本人も自慢としていた様子。
搬送から半時間後に覚醒、衛生兵を恫喝し、鼻を縫合するよう涙ながらに訴え続ける。
軍医による説得の末に縫合不可の旨を理解するも、その場で握りしめていた鼻を口に放り込み、嚥下。
そのまま一晩昏睡。起床後すぐに復帰を希望。左橈骨頭の骨折について説明を行ったが、「腕なんぞなくともいい」と繰り返すのみ。やむなく戦地復帰を指示。前代未聞にして、信じがたき様子。
氏名 四ツ谷 弾左衛門
所属 第八師団
階級 上等兵
作成日 十二月八日
・創傷の部位・程度
一 前胸部擦過傷:15センチ四方の傷口。出血を防ぐためか、自ら土を塗りたくっており、化膿。
ニ 左橈骨頭骨折:疼痛等の主訴はなく、自覚症状なし。
三 外鼻支持組織挫滅創:爆風により外鼻が断裂。骨が露出し、出血多量。
・経緯
十二月七日:南鶏山北堡塁にて地雷を踏み抜き受傷。
十二月八日:戦列復帰
・軍医による付記
顔面が血まみれ、意識喪失状態で担送。
右手に断裂した鼻を握りしめており、衛生兵が拳を開けようとしたが、びくとも動かず。余談であるが、あれほど大きな鼻は稀である。患者本人も自慢としていた様子。
搬送から半時間後に覚醒、衛生兵を恫喝し、鼻を縫合するよう涙ながらに訴え続ける。
軍医による説得の末に縫合不可の旨を理解するも、その場で握りしめていた鼻を口に放り込み、嚥下。
そのまま一晩昏睡。起床後すぐに復帰を希望。左橈骨頭の骨折について説明を行ったが、「腕なんぞなくともいい」と繰り返すのみ。やむなく戦地復帰を指示。前代未聞にして、信じがたき様子。
