(明治37年12月2日)

四ツ谷弾左衛門上等兵 鬼神の如き戦果
皇軍の誉れ
十一月二十六日、G国に出兵中の陸軍第三軍は、三度目の奉安総攻撃を試みた。G国軍の猛攻に苦戦しつつも、わが軍は黒木師団長の指揮のもと209高地の占領に成功。一気呵成に奉安要塞を陥落せしめた。戦況を好転させる偉大なる成果である。なかでも、第八師団所属の四ツ谷弾左衛門上等兵は、G国兵十人の撃破に成功するという一番の戦果を挙げた。これにより「鬼神の如き闘い振り」と誉れ高き四ツ谷上等兵の働きに、師団長から壱円が下賜された。本誌従軍記者が四ツ谷上等兵に言葉を求めるが、氏は興奮状態にあり言動不自然にして、記事に記すを能わず。疲労のためと推測されたため、師団長より特別の計らいにて休暇が与えられた。氏、志願兵と聞く。重ねて模範とすべき人物なり。