ボイスメモの書き起こし

ーーなんだ、また来たのか。今度は古文書を見て欲しいって? 爺ちゃんをこれ以上変なことに巻き込まないでくれよ……。

(紙ずれの音、十数秒の沈黙)

ーーお前、これはどこで見つけたんだ。

ーー仏壇を掃除して欲しいとは言ったが、こんなもの探せとは言っとらん。
いい加減にしろよ。知らん知らん。爺ちゃん古文書なんか読めないしな。婆さんの遺品を整理し忘れたかな。

ーーいや、なんも言っとらんぞ。この女の絵がどうしたって? 
ただの落書きじゃないか。ほら……ソウビエン……よく見てみろ。

ーーどうしたんだ。爺ちゃんより先に耳が遠くなってどうするんだお前。

ーー海だの島だの書いてある? だからなんなんだ! 
爺ちゃんは読めないし、何にも知らないって……ソウビエン……言ってるだろ!
K島なんて関係……ソウビエン……あるわけない!……ソウビエン。

ーーだからなんも言っとらんって! ちょうど病院に行くところだ。
お前も…ソウビエン…行くか? 医者に耳を診てもらってこい。