(1905年6月29日)
島内の牛五頭惨殺される
6月10日から17日までのあいだにかけて、K島町遠峰集落の農家三軒にて、相次いで農耕牛が惨殺される事件が発生した。犯人は夜間に牛舎に侵入し、頭部を殴打したうえで、鉈のようなもので四肢を切断するという、残忍極まる方法で殺害を遂げた。
悪鬼の如き所業
牛舎は床一面血まみれになつており、異臭はなはだしく、足の踏み場もないほど荒れ果てた状況であつたと聞く。肥溜めに熱した鉄を流し込んだかのような、脳天を刺すが如き激臭が漂っていた。昏倒した牛が痛みにより覚醒し、脱糞しながら転げまわつた故と考えられる。異臭より、近在の村人たちが事件に気づき、被害者宅に報告。実にK島内では近代稀に見る兇悪事件であり、犯人は極めて冷酷な人格と推定される。被害者の一人・古舘末男(五十七)は、「牛のほかに被害は確認されていない」と述べた。Y県警は器物損壊事件として、捜査を進めているが、未だ犯人および動機は不明である。
島内の牛五頭惨殺される
6月10日から17日までのあいだにかけて、K島町遠峰集落の農家三軒にて、相次いで農耕牛が惨殺される事件が発生した。犯人は夜間に牛舎に侵入し、頭部を殴打したうえで、鉈のようなもので四肢を切断するという、残忍極まる方法で殺害を遂げた。
悪鬼の如き所業
牛舎は床一面血まみれになつており、異臭はなはだしく、足の踏み場もないほど荒れ果てた状況であつたと聞く。肥溜めに熱した鉄を流し込んだかのような、脳天を刺すが如き激臭が漂っていた。昏倒した牛が痛みにより覚醒し、脱糞しながら転げまわつた故と考えられる。異臭より、近在の村人たちが事件に気づき、被害者宅に報告。実にK島内では近代稀に見る兇悪事件であり、犯人は極めて冷酷な人格と推定される。被害者の一人・古舘末男(五十七)は、「牛のほかに被害は確認されていない」と述べた。Y県警は器物損壊事件として、捜査を進めているが、未だ犯人および動機は不明である。