「ユイ、カンタ、ソウタ、ミレイ、シスイ、ケン、リコとリク、チアキ……?」
 窓から差し込む月光、ゆらゆらと燃えるろうそく。その明かりを頼りに渡された紙に書かれたものを口にする。しかし意図が分からず、前に正座している老人に向かって首を傾げる。すると老人は、その様子を見て取ったというように、胸あたりまで伸ばした白いひげをとかすようなしぐさをする。
明日(あす)から、その九人と宿舎で過ごしてもらう」
 突拍子もない話に固まっていると老人は再び口を開いた。
あの事件(・・・・)お前(めぇ)もちっとは聞いたことあんだろう? それが深刻化しおって、村長として対策を練らなきゃならんと思ってなぁ。そんで(わし)と若い(もん)を集めての話し合いだ」
 聞きなれないなまった話し方をしているその顔は、ものすごい真剣だ。しかし、そんな説明だけでは不安を抱く。
 村長は言葉をつなぐ。
「若い者といってもただ者を呼んだわけじゃあねぇ。きっと話し合いの役に立つ、有力者たちだ」
 有力者が集まったあの事件の話し合い……そんなものに参加しても大丈夫なのだろうか。自分は特に優れた能力があるとは思えないが……。
「そんな顔すんな。お前もここに必要だと思ったから呼んだんじゃ」
 心配が顔に出ていたようでそんなことまで言われてしまう。
「まぁ、それだけじゃ。わざわざ来てくれてありがとう。もう寝なさい。明日のためにもゆっくり休め」
「はい」
 紙をもって立ち上がり、ドアに手をかける。
「あぁ、それと。これはお前にしか言わんのじゃが……」
 後ろから声をかけられる。振り返り、その声の主を見た。
「明日からは何があっても絶対に宿舎からは出るなよ(・・・・・・・・・・・・)。……人狼が見つかるまで」