月曜日。怒涛のような一週間がやっと終わった。私たちは手をつないだまま教室に入った。山本くんは気にしたけど、私は人に何を言われても気にならなかった。
「えー! 咲久良と山本くん、付き合ってたの? いつの間にー?」
冷やかしてくる女生徒の中に、松本衣織の姿は見えない。
私の前の席――山本くんの席であるはずの場所に座る女生徒の後姿を目にして、私は硬直した。髪の毛をふたつくくりにした後頭部に、既視感を覚える。
山本くんと顔を見合わせると、彼も驚きに目を見張っていた。
「美鈴?」
人狼チームが勝利したことにより、美鈴が戻ってきたのだろうか。確か、本家本元の人狼ゲームでは、例え追放されたとしても、チームが勝利すればチーム全員の勝利になっていたはずだ。
ゆっくりと振り返ったその顔に、私は氷結した。
彼女は、私を認めて見惚れるような微笑みを浮かべる。眼鏡をかけていようが、地味な髪形をしていようが、透き通るような白い肌や、紅く色付いた形の良い唇は隠せない。綺麗な人は、どんな格好をしていても綺麗なのだ。
吉田春香は立ち上がって、私たちに一歩ずつ近付いてきた。
どうして今頃になって、春香が復活する?
私はひどく混乱していた。春香がよみがえる可能性を、考慮していないわけではなかった。けれども、純平くんや坂口くんがリセットされても、春香は戻ってこなかった。
八人がいなくなったことで、春香がいじめられなくなり、必然的に自殺することもなくなったということだろうか。
「どうしたの? 二人とも。幽霊に会ったみたいな顔して」
春香のハシバミ色の綺麗な瞳が、私たちを映し出していた。
私は手をつないでいたことを思い出して、慌てて山本くんから離れた。
了
「えー! 咲久良と山本くん、付き合ってたの? いつの間にー?」
冷やかしてくる女生徒の中に、松本衣織の姿は見えない。
私の前の席――山本くんの席であるはずの場所に座る女生徒の後姿を目にして、私は硬直した。髪の毛をふたつくくりにした後頭部に、既視感を覚える。
山本くんと顔を見合わせると、彼も驚きに目を見張っていた。
「美鈴?」
人狼チームが勝利したことにより、美鈴が戻ってきたのだろうか。確か、本家本元の人狼ゲームでは、例え追放されたとしても、チームが勝利すればチーム全員の勝利になっていたはずだ。
ゆっくりと振り返ったその顔に、私は氷結した。
彼女は、私を認めて見惚れるような微笑みを浮かべる。眼鏡をかけていようが、地味な髪形をしていようが、透き通るような白い肌や、紅く色付いた形の良い唇は隠せない。綺麗な人は、どんな格好をしていても綺麗なのだ。
吉田春香は立ち上がって、私たちに一歩ずつ近付いてきた。
どうして今頃になって、春香が復活する?
私はひどく混乱していた。春香がよみがえる可能性を、考慮していないわけではなかった。けれども、純平くんや坂口くんがリセットされても、春香は戻ってこなかった。
八人がいなくなったことで、春香がいじめられなくなり、必然的に自殺することもなくなったということだろうか。
「どうしたの? 二人とも。幽霊に会ったみたいな顔して」
春香のハシバミ色の綺麗な瞳が、私たちを映し出していた。
私は手をつないでいたことを思い出して、慌てて山本くんから離れた。
了